Bloody Eclipse
□第38話 黒髪の過去
1ページ/1ページ
黒髪の少女、
アタシと同名の少女、シュリー。
過去を探って、見たもの。
片田舎の路地裏に捨てられた赤子。
押し込められて労働を強いられた孤児院。
見世物として売られ、代わる代わる身体を汚された一室。
陵辱され、虐げられる恐怖の日々。
突然男に手を引かれ、連れて来られた屋敷。
孤児院を出られた喜びもつかの間、
毎日のように閉じ込められる拷問部屋。
それを知った男の一人息子。
守ると言いながら守りきれない現実を目の当たりにした兄の涙。
そんな姿に馬鹿だと思いながらも同様に嘲る自分自身。
アタシ、人間なんて能天気さ故に人生八割方幸せに生きるんだと思ってた。
小鳥ちゃんも、嶺帝学院の生徒も、みんな何だかんだ幸せそうに生きるときが多いから。
でも、この子の人生は絶望しかない。
幸せなんかない。
安らぎも、ない。
人間の闇の運命とも言うべきなのか…
幸せになる日など来ないけど、
もし彼女にそんな日が来たらいいのになって、
やっぱり、アタシはどっかおかしい。