Bloody Eclipse
□第25話 そこで聞いたもの
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あからさまにおかしい。
そう思った俺は使い魔にシュリーについて調べさせた。
「………コーデリアに、突き落とされてる…?」
どうしてなのだろう。
あの、俺たちを見る澄んだ瞳の裏で、
曇りのない満面の笑みの裏で、
彼女は何を隠そうとしていたんだ。
隠れきってはいないけど、それでも必死で隠そうとしていたのは、何故なんだ。
聞かなくちゃ。
聞いて、俺が彼女を守らなくては。
その一心で、気づいたら俺はシュリーに問い詰めていた。
「あー…バレちゃったかぁ…心配、かけたくなかったのにな」
見たことない。
こんな、陰りのある笑顔。
「知ってる?アタシ、望まれなかった子なんだよ。娘は、要らないんだって。…女は当主になれないから」
「え…?」
「当主になれない女だから、ベアトリクス様はアタシに優しくしてくれる。女だから、クリスタもアタシを姪だと認めてくれてる」
震えてる声。
今にも崩れそうな、笑顔。
そんな顔、しないでよ。
「だけど、アタシが母様に突き落とされるのは娘だからってだけじゃない。」
「え…?」
「だってアタシは
───普通のヴァンパイアじゃないから」
「っ…でも、そうだとしても、シュリーはシュリーだよ!」
俺はそう思った。
それは本当だから。
どんな正体であれ、
シュリーは俺の、頼りなくて放っておけない姉に変わりなかった。
なのに。
「そんなこと言ってくれるの、シュウちゃんだけだよ」
なんで、そんな泣きそうなのに笑ってるの?
「社交界にも食事会にも一切アタシを出さないのは父様が溺愛してくれてるからじゃない。
出生を隠してたのも、怪我を治すだけで母様を誰も止めないのも、満月じゃなくて新月に気を取られるなと言われるのもアタシが普通じゃないから…
でも、お願い。」
「レイちゃんには…まだ、言わないで。いつか、本当に話さなきゃいけなくなる日まで…」
「なんでっ…!レイジに伝えようよ!」
レイジだって、シュリーが誰であれシュリーは自分の姉だと認めるはずだから。
「レイちゃんはああ見えて繊細だから……約束して、シュウちゃん」
でも、それ以上にシュリーはレイジのことを考えていたから。
「…うん……。分かった。」
俺は俺からこの事実を来ることもないであろうと思っていたその日まで告げないと約束したんだ。