Novel

□『 Only You 』 ★
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〔side Raditz〕



「ラディ、どこにいる?買い物か?」

「お父さん、帰ったの?今ね、北の岩場だよ。」

「なんだってそんな所にいるんだ?」

「ん、来週学校で戦闘力測定があるからチョット気弾の打ち込みの練習してたんだ。もう帰るよ」

「ちょっと待て。俺が見てやる」

「え〜〜〜?いいよ?もうすぐ夕飯だし。用意しなくちゃ・・お父さんお腹空いたでしょ?」

「いや、今パンかじってるから大丈夫だ」

「・・・(明日の朝のパンかな?まさか・・・何斤か食べちゃってる?)」

「2,3分位で行くから待ってろ」

「・・・分かったよ(僕、お腹空いてきたのにな)」



ふ〜っと傾きかけたオレンジ色の柔らかな光を放っている太陽をジト眼で見て溜息をつきながらスカウターの通信を切った。

下級戦士であるにもかかわらず上級戦士にも引けを取らない戦闘力がある父親から
指導を受けられるなんて傍から見れば羨ましい限りなんだろうけど、
父のあまりにも手加減無しの熱血指導は有難迷惑の何物でもない。


学校の授業も厳しくて落ちこぼれているのにと、
前に一緒にトレーニングしてくれた時のスパルタ指導を思い出しまた一つ深く溜息をついた。


あ〜なんでもう少し早く切り上げて帰らなかったのだろう。

もう疲れちゃってお腹も空いてきて夕飯の支度もしなきゃいけないし、
トレーニング後にここから飛んで帰れるのかも不安になってくる。


あ〜僕にもパン持ってきてって言えばよかった。

あ〜そもそも戦闘力テストなんてあるのが悪いんだ。

戦闘力上げるのだってテストなんて関係無いんじゃないのかな?
授業やトレーニングだけでいいじゃん。

あ〜また そんな弱っちー奴が俺の息子かなんて言われちゃうんだろうな。

あ〜水飲みたい。


・・・なんて事を考えていたら遠くに見えていた黒い点がどんどん大きくなってくる。


お父さんだ。


地平線に近づいて行く太陽の光が弱くなっていくのが自分の心と重なっているなと
諦めの境地で、だらんと不安げに揺れている尻尾を手繰り寄せ腰にしっかりと巻き直した。
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