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□『内緒にしてて』
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「ラディッツッ!!大丈夫かっ!」


「なっ?」
「えっ?」


俺がジースさんに殴られていると勘違いしたのか凄い形相で親父が中庭に飛び込んできて
ジースさんに気弾を撃ち込もうと構えている。

ジースさんも条件反射的に攻撃態勢になる。


「親父っ!!ダメッ!」

俺はジースさんの前に飛び出して両手を広げた。


「ラディッツをぶん殴るとか許さねぇ」

「親父ッ!違うって」」


「お前ら、何やってんだ!!」

「隊長!」


4竦みの様になってしまった状況に顔が引きつる。


ジースさんは可愛いと思えるけど、やはりギニュー隊長を目の当たりにすると緊張してしまう。



「おう!ギニュー。ジースが俺のラディをボコりそうだって誰かが言ってきたからよぉ」

「「えええぇっ??」」

「ジース!そうなのか?」

「まさかっ!俺がラディッツを?そんな事するわけないじゃないですか!」

「親父、誰からそんな事・・・」

「食堂行ったら、ジースが怖い顔してラディッツを連れて行ったって聞いたからよ。
いくらジースでも勘弁ならねぇって・・・」

「ったく、親父早とちりだよっ!」

「で、ジース何だったんだ?」

「えっと・・・」


隊長に問い詰められているジースさんは、シュンとしてしまって
俺より戦闘力が遥かに強いなんて到底思えないような困り顔だ。



「隊長!違うんですよ」

「ラディ!」

振り返るとジースさんは縋るような眼をして俺を見つめてきた。

隊長にサプライズでチョコパフェを作ってあげたいんだろうなって事は分かる。

俺は頷きながら向き直って隊長と親父に微笑んだ。


「俺が前からジースさんに相談してたんですよ。
約束の時間を間違えてたからジースさんが食堂まで迎えに来てくれて」

「は?」
「何だ?」
「えっ?」

親父も隊長もまだ疑心暗鬼になっている様子だ。

ちょっと、ジースさんまで疑問形じゃ二人を誤魔化せないじゃんか。

ジースさんの声は二人には聞こえてなかったみたいだから良かったけど。


「ちょっとエネルギー波を打った後の時のポーズについて・・・
こうやってこうするか、こっちにするかって」


俺は適当に型を決めて二人に見せた。


「ったく、てめぇは形ばっかり気にしやがって!威力をつけるのが先だろうがっ!」

親父ったら形を気にするギニュー隊長の前で何て事を言うんだと
ジースさんを庇うよりもヒヤヒヤしてしまった俺。

でも隊長は親父の物言いには慣れてる様子で気にしている感じはしない。

「まぁまぁバーダック!まだラディッツも若いんだ。
ジース!型もいいけどトレーニングも見てやれよ」

「はいっ!分かりました」

大人の余裕なのか、俺の事なんか(戦闘においては)気にもかけていないのか
何かに付けてポーズをするのが好きな隊長は笑ってそれ以上は突っ込んで聞いてこなかった。


「それよりバダ!先週新しい居酒屋がオープンしたの知ってるか?」

「あ〜目抜き通りの一本先の所だろ?まだ行ってねぇや」

「今日あたり行ってみねぇか?」

飲み友である二人は、俺たちの事はすっかり隅に追いやって中庭から出て行ってしまった。

多分ギニュー隊長は新しい居酒屋に行きたいが為に親父を探していたんだろう。

最初から頭は飲みに行く事でいっぱいだったんだ。

だからいつもより優しく感じたんだな。



「ふぅ〜」
「はぁ〜」


俺とジースさんは肩の力を抜き溜息を零した。

「なんか、親父がすみません」

「いやいや、紛らわしい行動した俺も悪い」

「じゃぁ、週末あたりどうですか?」

「トレーニング?」

「ジースさん!パフェのほう!」

「あぁ!そうだった!よろしく頼むよ」


結構ジースさんも天然だよな。

しかし隊長の前では可愛さが増すよなぁと年上のジースさんをニヤニヤして見てしまった。

そして週末の予定を決めてジースさんと別れた俺。


親父は今日はギニュー隊長と飲みに行くんだったら遅くなるかな〜
なんて思いながら昼食を取ろうと食堂へ向かった。



end




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