Novel

□『Labyrinth』★
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空腹もなんのそのヤル気満々の俺だが段々に大きくなる家を見て眉を顰めた。

歳はラディッツの少し上くらいのサイヤ人3人が自分の家の前に立っている。

そわそわとするずんぐりした奴とそんな奴を宥めているように見える
鍛え上げられた筋肉の背の高い奴2人が何か言い合っている様子が遠目でも分かる。

自分のチームの奴らがたまに酒盛りに来る位であまり来客は無いのだが
息子に用があるのかもと声が届く位の所の空中で止まる。


「やい、てめぇらウチに用か?」


3人が一斉にバーダックの方を見やると3人とも一瞬で顔が青褪めた。

下級戦士の中でも最強を謳っている自分と目を合わせられる奴はあまりいない。

こちらが相手の目を見据えれば目を泳がす様に視線を外される事は日常茶飯事だ。

この3人も例には漏れずだ。

オタオタし肘でお互いを小突いて顔の表情で会話しているように見える3人に不信を抱いて
「答えろ」と一言、威圧的な低い声で問いかけた。

考え込むようだった背の高い奴が 徐に吐き捨てるように 

「…合意だからなっ!行くぞ!」

と引き攣った顔で口角を無理矢理あげ、俺を一瞬見て踵を返し
凄いスピードで飛んで背の高い2人は行ってしまった。

ずんぐりした奴は遅れを取ったことでパニックを起こしているみたいであたふたとしながら先の二人に続いた。

途中、大きな木の幹にぶつかっていたけど大丈夫だったか?

「なんだ、あいつら意味分からん」 と ボリボリと頭を掻いて家に入る。

そんな事よりもラディッツだ!


「ラディ〜ッツ!ラディ〜帰ったぞ〜」


家に居る時はいつもなら玄関の開ける音と同時に「お帰り〜」と声がかかるはずだ。


いないのか?風呂か?買い物か?取りあえず2階にある自室へ着替えをしに向かう。


いくら戦闘を生業にしているとはいえ普通に疲れる。

帰ってきたら一日くらいは休みたいぜと一人ゴチながら階段を上がる。
よっこらせなんてジジくさい言葉を吐きながら一番上の階段を後にする。

すると 自室より奥にあるラディッツの部屋のドアが少し開いているのに気がついた。


「ラディ?いるのか?」と返事が無い部屋を覗いてみた。


するとベッドの上にラディッツがうつ伏せになっていた。

一糸纏わぬその姿は情事の後だという事が見れば分かる。

体中に散っている紅い鬱血痕。

独特の臭いが鼻につく。

ラディッツの服、シーツやブランケットは丸まって床に落ちていて 
シミや僅かだが血痕も至る所に散らばっている。


少し見える横顔の頬はまだ情事の余韻が冷めないであろうか赤くなっているのが分かる。


相手はさっきのサイヤ人達で間違えはないであろう。


合意だと言っていたのはこの事か。

こちら側からはラディッツの表情は見て取れないが 気を失うほどに満たされたのか?

眉間に皺を寄せながら沸々と黒い感情が全身から溢れ出し
周りの空気が狂気に染まっていくのが自分でも分かる。



「随分お楽しみだったようだな?」


汗なのかしっとりと濡れている髪の毛に手を入れ頭を鷲掴みにし上に引き上げ
耳に唇を押し付けながら地獄の底から這い出てくるような低い声で囁きかける。


「ん、んあぁっ!?」


「てめぇ、まさかいつも俺が留守の時は誰にでも脚を開いていたのか?」

髪の毛を掴み直しガクガクと頭を揺さぶる。

ラディッツは何が起こっているのか分からなかった様だったが悲鳴と共に覚醒したようだ。


「ちがっ・・い、、痛い・・・親父いやぁ・・・」

「ふんっ、どこが違うんだよ!意味分かんねぇ」

「ち、違う・・・いいから・・話聞いて・・・」

「言い訳なんぞ聞きたかぁねぇんだよっ」

「い、痛い‥から……やじ…はな…しっ」

ベッドに叩き付けるように手を放す。


ラディッツが自分以外を受け入れるなんて許せない!許さない!

もう俺だけのものでは無い。

俺のものでは無いなら殺すまでだと拳を作った手に爪が肉に食い込み痛みが走る。

血が滲んできたのであろう。

そしてその拳を怯えた縋るような涙目で俺を見ているラディッツの頬に打ち込んだ。


怒りに任せた手加減無しの無数の拳はラディッツの身体にダメージを与えていく。


「この淫乱め!殺してやる!」


「やめっ!・・うわぁぁ・・おや・・あぁぁ・・いやぁ・・・」


ラディッツは両手で俺の拳を避けようとするが
まるで人形かサンドバックの様に無抵抗にしか感じられない。



「バーダック!何してんだっ!」

「離しやがれっ!」

「止めろっ!ラディッツ死ぬぞっ!」

トーマの野郎が俺を羽交い絞めにしている。

身を捩りトーマの腕を振りほどき、ラディッツの顔や鳩尾に再度拳の雨を降らせる。


「そのつもりでぶん殴ってるんだよ!」

「バダッ!いい加減にしろ!」

「チッ!」

「くぅぅ・・・親・・父・・・」


トーマが凄い力でラディッツから俺を引き剥がした。


「ムカつく野郎だぜっ!」

「お・・・親父」

「止めろ!親父なんて呼ぶな!もうてめぇとは親でも子でもねぇ!顔も見たくない!遠征は十日間だ。
帰って来るまでにここから出ていけ!もしいたら今度こそは殺すからな!」


「・・・ううう」



「分かったかっ!」


「・・・・わ・・かった」



「穢れヤロウめ!殺されないだけでも有り難く思え!行くぞ!」
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