Novel 2

□『ターレスのイタズラ日記 2』
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今日の授業は午前中で終わる。


そして午前最後の3時限目は卒業文集に載せる文章を書いている。



「将来の夢」なんて題目はベタ過ぎて面白くとも何ともない。



サイヤ人である俺達は、考える事無くフリーザ軍に入隊して駒の様に働かされるんだ。


下級戦士の生まれは、何かに付けて馬鹿にされる対象だ。


馬鹿にされない為には戦闘力を身に付けないといけないだろう。


下級戦士というだけで、こき使われる自分なんてまっぴら御免だ。



俺もこの小学校では一番の強さでも、フリーザや上級戦士の生まれ持った戦闘力には遠く及ばないって事は分っている。


手っ取り早く戦闘力を上げる術があれば・・・。


それを見つける事が夢なのかもしれない。


いや、夢だけにはしない。



現実のものにしてやる!なんて事を思っていると前の席のラディッツが腕を上げて伸びをした。




「ん〜、やっと終わったぁ〜」


ラディッツが頭を振ると、長い髪の毛からいい匂いがしてきた。


「お〜ラディ。随分一生懸命書いてたね」


「ターレスも終わった?」



書きたい事が書けた満足感からかラディッツは何故か頬を赤くしながら俺のほうに身体を向けた。


「俺は速攻書いちまったぜ」


「へぇ〜流石ターレスだね。ターレスの夢って・・・」


「ラディの夢は、そうだな・・・。親父さんの様に強くなって宇宙の色々な星を制圧したい。ってな感じか?」


「え〜っ?見たの?ずるいっ!ターレスのも見せてよっ!」



何かに付けて、お父さんが〜、お父さんは〜、と聞かされているんだ。


んなの読まなくったって、親父さんの事を書いているのは火を見るよりも明らかだ。


ラディッツは可愛い頬を膨らませて、裏返しにしていた俺のプリントを表にした。



「えっ?何?これ・・・これだけ?・・・って・・・なんで?」


「なんでって・・・・これが俺の夢」






『海賊王に俺はなる』





俺の夢を読んで吃驚したラディッツの顔に俺はニヤリとした。


「ターレス駄目だよ。真面目に書かないと。先生に怒られちゃうよ」



変な所で真面目なラディッツは、一行しか書いていなくて、しかも茶化しているような内容にオロオロとしだした。


「何言ってんだよ。ラディ、自分の夢を書けばいいんだからこれでいいんだよ」


自分が先生に怒られたわけじゃないのに、瞳がウルウルとしだしたラディッツの頭を安心させる様に撫でてあげた。




「よ〜し、そろそろ書き終わったかぁ?・・・じゃぁ、一番後ろの席の奴から前に送れ〜。一番前の席の奴は先生の所まで持ってくるように」


「「「は〜い」」」




「ほら、ラディ。俺の・・・はい、前に回せよ」


「う・・・ん」


渋々といった感じか、ラディッツは戸惑いながらプリントを前の席の生徒に渡した。




「では、今日はここまで!気を付けて帰えれよぉ〜」


と、先生が皆を見回しながら挨拶をした。




ラディッツは猫背になって大きく息を吐き出すと、自分の机の上を片付けしだした。


「ラディ、今日は時間あるだろ?土手の所、回って帰ろうぜ?」



俺は立ち上がって横からラディッツを覗き込んだ。




上目使いに俺を見上げて頷いたラディッツに胸がドキっと波打った。





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