Novel

□『 煌めく瞳をこの胸に 』★
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「親父〜あさ〜っ!起きろ〜」


親父は昨日チームの人達&ギニュー隊長とで飲みに行ったらしい。

ベロンベロンで良くも帰って来れたと思えたが、ヨッパなくせにちゃんと歯を磨いてから寝ていたのは感心する。

まぁ歯ブラシを動かしていたか咥えていたか解らないが。

親父は、ん〜と分かっているんだか分ってないんだか訳の分からない生き物の鳴き声の様に唸って布団を頭から被ってしまった。


ダメだこりゃ。


今日は外せない会議があるって言ってたのに前日に飲みに行くかなぁ・・・。


飲みに行くのはいいのだ。

飲み過ぎるのが良くないんだ。


チームの人達だけだったらいつもの事で親父も羽目を外さないけれども、ギニュー隊長が一緒だと支払いの心配をしなくて済む様でいつもより飲み食いに拍車がかかるらしい。



俺は部屋の遮光カーテンを引き寄せ、窓を開け放った。


「ん〜〜いい天気っ!」


ベッドや家具の輪郭が分かる位だった仄暗い部屋が一気に彩に塗られる。


爽やかな風が部屋に入り込んできて胸いっぱいに吸い込むと、その心地良さに穏やかな気持ちになった。


窓の外を見ると庭にある緑豊かな大きな樹の葉陰から陽の光が差し込み、キラキラと部屋の中を照らす。


そんな明るさも関係なく親父は微睡みの中にいる。


「親父〜、起きないと遅刻するよ」


「・・・あと5分」


「も〜絶対起きてよねっ!」


「・・・・・」


俺は取りあえず親父の部屋を出て自分の部屋に行き、学校へ行く準備を終えた。


まだ5分も経ってないが親父の様子を見にドアを開けた。


しっかり寝てる・・・。


「親父ったらぁ〜っ!」


「・・っせ〜なっ!あと5分ってっ」


「さっきもあと5分って言ったよ!・・・ねぇったら!」


「・・・・・」


「んもぉ〜っ!」



俺は親父から布団を剥ぎ取った。


親父は目蓋を閉じていても陽の明るさは感じるのか顔を顰めた。


しかし起き出す様子は無い。


俺は明るい所で親父の寝顔を見る事は余り無いのでマジマジと見てしまった。



眼を閉じていても雄々しいと分かる風貌だ。


太い眉は意思の強さを、スッと通る鼻梁はプライドが高さを物語っているように感じる。


形の良い唇は俺を際限なく蕩けさせるキスをして、俺の名を呼ぶ声は十二分に愛情が伝わってくる。


今は閉じられている瞳で真っ直ぐに射貫かれてしまえば俺は親父には抗えなくなってしまうんだ。



そして上半身裸の親父を見て何故だか頬に熱を感じる。


完璧な筋肉を纏った屈強な身体。

太い首筋から浮き出ている鎖骨。

盛り上がっている胸からの引き締まっているウエストライン。

あぁ、いつもこの逞しい腕に抱き締められいるんだと思うと親父の事が愛しく思えるのに何故だか切なくなって胸がいっぱいになって来る。



いや!ダメだ。


そんな事を考えている時ではないのだ。


親父を起こさないと!
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