Novel

□『内緒にしてて』
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「ラディッツ」


昼定食の列に並んでいると後ろから俺を呼ぶ声が聞こえた。

振り返ると特戦隊のジースさんがいた。

「ジースさん!今日は食堂でお昼ですか?」

「いやいや、ラディを見かけたからさ」


普段、食堂ではあまり見かけない特戦隊の人を見て、
下級戦士の皆々は緊張を隠し切れない様子で俺たちの周りから距離を取っていく。


普段のジースさんは全然怖くないし、むしろ可愛いのになって思っていると
眉間に皺を寄せ俺の腕を取って「ちょっと」と言って、食堂から引っ張り出されてしまった。


皆は、お前なんかマズイ事でもしたのか?みたいな目で見ていたけど
ジースさんに詰め寄って来る奴もいなかった。

そりゃそうだ。サイヤ人の下級戦士なんて、特戦隊の人に盾突いたら
一発で殺されてしまうって分かっているから遠巻きに見ているだけだった。


下級戦士の中で特戦隊の人や上級戦士の人やフリーザ様にだって
俺様な態度を取ってるのは親父位だろう。


何故か王様だって親父の飲み友だしな。

一応人様の前では親父なりの敬語を話しているみたいだけど
お忍びで家に飲みに来た時の親父の態度といったら、どっちが王様なんだろうって思ったもんだ。



ジースさんは食堂から少し離れた中庭まで俺を連れてくると腕を離してくれた。


「えっと・・・」

「ゴメンゴメン!メシなのに引っ張ってきちゃって」

「いえいえ。で、なにか?」

「この前チョコパフェ作ってくれただろ?すげぇ〜バータが感激しててさ。
また作って欲しいって言ってたんだ」



あ〜、あれだ。

特戦隊のバータさんのOKを貰えないと商品化出来ないって
カフェのパティシエにメニューの新作の相談を受けた時に試作で作ったヤツだ。


「なんかその後カフェで食べてもラディが作ってくれたのと違うってバータが言ってたんだ。」

「いつでもいいですけど・・
え〜?何でだろう?あれは3種類のチョコを入れてるんですけど
溶かす湯せんの温度が決めてでして・・・」

チョコの配合はいいと思うけど、温度が違うのかなぁ?って、やはり自分が携わっているから気になる。


後でチェックしに行こうって思っているとジースさんがなんかもじもじしている。



「でさ、作る時に俺も手伝いたいんだけど」

「え?ジースさんがですか?」

「ん・・・。た・・・たい・・・隊長に」


あ〜、分かった。やっぱりジースさんは可愛い!


「隊長に作ってあげたいんですね?」


バチ〜ン!


「もぉ〜!ラディのバカァッ!」


「いてっ」


恥ずかしいのか俺の腕を叩いてきた。
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