Novel

□『移りゆく気持ち』
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「お〜〜い、カカロット〜〜!」

ここは惑星ベジータの下級戦士が多く住む下町の人種の坩堝な商店街の肉屋の店先の前。

俺は商店街の肉屋に居候していて、遠征が無い時は店番もする。


目の前を買物帰りかビニール袋をぶら下げながら友人の弟が走っている。

カカロットは呼ばれて足から煙が見えそうな止まり方をして振り返った。

「ターレス!」

「よう!そんなに急いでどうしたんだ?」

「兄ちゃんが・・・」

「ラディッツが?」

「ん、熱でちまって寝込んでるんだ」

「珍しいなぁ今の時期に風邪なんて」

「サイヤ熱D型だって言ってた」

「そりゃ酷いな」

「ん、食欲も無いって朝から何にも食べてないんだ・・・
だからおらが前に風邪ひいた時に兄ちゃんが作ってくれた卵のお粥を作ってあげようかなと。
薬も飲まなきゃなんねーし」と言って、卵が入っているであろうビニール袋を持つ手を掲げた。

卵だったんか?あんなに乱暴に振り回して・・・大丈夫だった・・・みたいだ。

「お前、粥なんて作れるのか?っつーかまだガスとか使っちゃいけないってラディに言われてなかったっけ?」

「おかゆってガス使うん?」

「うん?って・・・」

「冷や飯はあるから、卵入れてお湯かけてかき混ぜるんだよなぁ?」

「・・・おい、熱だけじゃ済まなくなるぞ」

それだったら お湯入れないで卵かけご飯だけの方がいいかと・・・。

呆れてため息が漏れる。

「え〜?兄ちゃん死んじまうんか?」

「んなわけ・・・。まぁお前に声を掛けちまったからなぁ。俺が作ってやるよ。」

「ほんとか?良かったぁ。父ちゃん抜けられない仕事があるから夕方まで帰ってこれねぇって言ってたし、
おらもサイヤ語のテストで赤点取っちゃったから寮でプリントやんなくちゃいけなかったんだ」

じゃぁお願いしていいか?ってカカロットは学校の寮へ行ってしまった。

ここで粥作って持っていくつもりだったけど家の鍵渡されて、看病もしろってか・・。

卵の入ったビニール袋には冷却シートも突っ込んであった。

まぁ、クラスメイトでもあったし、店の常連でもあるラディッツの為だ。

昼前の混む時間帯も一段落したし、夕方にまた混む時間帯までに帰ってくれば問題ないだろう。

奥にいるオヤジにちょっと出てくると一声かけて店を後にした。
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