Novel

□『 白い雲のうつつと夢 』★
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「おいおい、ラディ?ちょっ!・・・すげー力だな。・・・地味に痛ぇぞ(全然痛くないけど)」



「・・・・・・」



「そんな怖い夢だったのか?・・・ん?ラディ?」



「・・おと・・・さん・・・・・ぎゅうぅ」



「ははっ、どんな夢見たんだよ?」


中学に上がって暫くしてから「お父さん」から「親父」に呼び名が変わった。

多分友達の影響とかがあるのだろうけど、怒って興奮した時とか泣いている時とか甘えたい時はいまだに俺の事を「お父さん」と呼ぶことがある。

無意識なんだろうけど俺に構って欲しい時に呼び名が戻るみたいだ。



子供返りか?まぁ今も子供だが「お父さん」と呼ばれると身体がこそばゆい。




「親父」と初めて呼ばれた時は違和感もあったが最近では慣れてきて、自分としても「親父」と呼ばれる方がらしく感じていた。

でも久しぶりに聞く「お父さん」という言葉が心地よくて際限なく甘やかしてやりたくなるのも事実だ。



涙声で訴えてきたラディッツの身体を抱き締め、頭にキスを落とし、艶やかな髪の毛を梳いてやる。


本当にどうしたんだ?



ラディッツの身体が小刻みに震えている。



いつもは俺がくたばる夢の話を聞いてやって、怒った振りをするけどラディッツからそんな夢見てゴメンのキスされて、泣いた顔がすぐ笑顔になってそれで終わる筈だが・・・・。



何も言わないで涙を流されると、こんな俺でも心配になって来る。



「ゃぁ〜ぁっ!離しちゃ嫌ぁ」

ラディッツの顔を見たくなって少し身体を離そうとしたが、嫌と小声で訴えてきたラディッツは更に腕の力を入れてピッタリと俺にくっついてしまった。



「ラディ?・・・俺はここにいるだろ」



暫くの間、ラディッツの気が済むまで俺の胸の中でラディッツを包み込んだ。


頭の天辺や米神にキスをして何度も髪を梳いているとようやく嗚咽が治まってきた。



ラディッツが俺の胸でモゾモゾと顔を擦り付けるように動かしてきた。



キスして欲しいのサインだ。


俺は髪の毛を梳いていた手をラディッツの頬まで滑らせて上を向かせた。



まだ眼を瞑っている目蓋に一つ触れるようにキスをする。



「ラディ・・・・ラディッツ」


まだ濡れている目尻にも一つ。

柔らかい頬にも一つキスをすると、ようやくラディッツの瞳が半分開いた。


俺の大好きなラディッツの瞳。


愛しい潤んだ瞳が俺を映しだす。


そしてラディッツが再び眼を閉じていくと頬に添えていた俺の手に涙が伝っていった。




俺は涙の理由を聞くこともせずに、吸い寄せらせるようにラディッツの唇にキスをした。


温かくて柔らかいラディッツのそれは俺の脳を痺れさせる。



「・・・・・・んふっ・・」


合わせた口唇の間からラディッツの吐息が漏れる。



俺はキスをしながら体重を掛けていき、ラディッツをソファに沈めた。



すると俺のキスから逃れるように顔を動かして、手を俺の胸に当て上に押しながら身を捩ってもがきだした。



「・・・・ラディ?」



俺はキスを止め身を起こしてラディッツを見下ろした。



ラディッツは口をモゴモゴ動かして何か言いたそうだ。


ちょっと頬を赤くして恥ずかしそうにしている。



「・・・・今日は」


「今日は?」


「今日は・・・・僕が・・・」


あっ、「俺」から「僕」にもなっちまってる・・・。


「ん」



「僕・・・頑張る」



「ん?」


頑張る?なに頑張るんだ?と頭の中に「?」が増えていると、ラディッツが俺の下から抜け出して、俺の上に乗ってきた。



「お父さん、上向いてよ」


「あ?」



俺は珍しく素直にラディッツのいう事を聞いて、ラディッツの身体を落とさない様に身体を上に向けた。



するとラディッツが身を屈めてきてキスをしてきた。



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