恋人は公安刑事 石神教官(別設定ヒロイン)

□恋人は公安刑事 石神教官(別設定ヒロイン)
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桜が舞い散る季節、私は新設された公安学校に入学した
見事な桜を見上げると、ぶわっと風が巻き起こる
私は乱れに乱れた髪を直しながら襟を正す

幸子
(今日からここで頑張るんだ・・・)

私はテレビドラマの影響で警察官になった
高校卒業と同時に3歳上の姉にこれから進む道の話をすると“はぁ?”と
とても理解出来ないという返事を返された
それから10年・・・

そしてこれから進もうとする先にある“公安”という存在は、
私にとって未知の世界だった・・・


入学式を終え私は、改めて気持ちを引き締める

校内アナウンス
「次に呼ばれたものは、至急教官室まで来るように」
「千葉・吉川・吉田・坂本・・・」
「以上」

幸子
(え?呼ばれた?)

隣にいた唯一の女子 佐々木鳴子が、驚いた顔をする

鳴子
「何かやった?」

そう言って、私の顔を怪訝そうに覗き込む
頭の中で色々考えるも、入学式に出席しただけで、思い当たることなど全くない・・・

幸子
「いや、全然身に覚えがない・・・」

鳴子
「容疑者は、たいていそう言うよね」

鳴子はクククと笑って私の背中を押す

鳴子
「身に覚えがないなら大丈夫。早く行ってきな」

幸子
「そりゃそうだよ ちょっと怖いけど、行ってくるね

鳴子に見送られ教官室に向かう
途中何人かと合流する・・・

(呼ばれた人かな?)

私が最後に部屋に入り、ドアを閉める


??教官
「揃ったな」

メガネをかけた厳しそうな教官が訓練生達を見渡す

??教官
「集まるのが、遅ぇ」

(!!!ここ警察だよね???)

いきなり怒号が飛ぶ

??教官
「本日より、皆には教官専属の補佐官をしてもらう」

(?補佐?官?)

私が、ポカンとした顔をしたのを察したのか若い教官らしき人が口をはさむ

??教官
「兵吾さんにとっては奴隷になるのかな?」

(へ?今奴隷って言った?)

兵吾さんと呼ばれた教官は、眉間にしわを寄せいかにも、不機嫌な顔をする

(私・・・とんでもないところに来ちゃったの?)

訓練生はそれぞれの教官に呼ばれ、個別室に入って行った
何故かポツンと残る私・・・


??教官
「吉川!」

(ん?)

幸子
「は、はい」

いきなり呼ばれた。

??教官
「お前は俺の補佐官だ」

幸子
「はい・・・よ、よろしくお願いします」

私を呼んだメガネの教官は、石神と名乗った
石神教官の後に付いて個別室へ入る

幸子
「失礼します」

石神教官は、自分のデスクの上にある書類を眺めながら
私を見る

(あっ、今二度見した)

なんだか値踏みされているようで、落ち着かない

(まあいきなり補佐官になったわけだから落ち着かないのはしょうがないよね)

石神
「簡単に自己紹介する」

そう言うと石神教官は眼鏡を押し上げる

石神
「ここで教官を務める石神だ。階級は警視」

(警視!!!キャリアだ)

「以上だ」

(へ?終わり?)

(石神、石神・・・どっかで聞いたことがある名前なんだけどな・・・)

どうしても思い出せない

(でも、なんとなく堅物そうでいかにもって名前かも)

私は、思わず笑いそうになるのをぐっと堪える

石神
「何かおかしい事でもあるのか?」

幸子
「いえ、とんでもないです。こちらこそよろしくお願いします」

私は、深々と頭を下げた


年齢は私より3〜5歳は上だろう
制服をキリッと着こなし いかにも仕事が出来そうな雰囲気だ

ふと兄の言葉を思い出す


「幸子、よーく聞くんだよ。僕たちには両親がいない」
「だから何かあった時は、自分で判断しなければいけない」
「もちろん、兄ちゃんに相談してもいいんだよ」
「でもね、人を外見だけで判断することは、いけないよ」


のんびりやの兄が、随分とまともな事を言うものだと
幼いながらも、思ったものだ

石神
「?どうかしたか?」

幸子
「い、いえ・・・」

(なんで今兄の言葉を思い出したんだろう・・・)



私は、兄・姉・私の3人兄弟だ
私が小学生の頃、両親が亡くなって 一年間施設で育った
両親が急にいなくなって寂しくて寂しくて仕方がなかったが
私には兄も姉もいて、他の・・・他の・・・子供たちは・・・
(え?えーーーーーーー?)
とたん過去の記憶がよみがえる


幸子
「あの・・・」

石神
「なんだ?」

鋭い視線が私を射抜く
思わず後ずさりしそうになるのを、グッと堪える

(まさかね、あの子も確か・・・石神って名前だったような…)


私は大きく深呼吸する


幸子
「石神教官、一つ質問していいですか?」

石神
「なんだ?手短にな」

石神教官は、書類に目を落としたまま返事をする
初対面の人にこんなことを言っていいのか?と自問する

(いやもしかして、初対面じゃないし…)

(・・・いいじゃない 間違ってたって)



幸子
「あの失礼な質問かもしれないので、先に謝罪します」

石神
「質問の種類による、そして失礼かどうかは俺が決める」

(はい、ごもっともです)

私はスーッと息を吸う

幸子
「石神教官は、小学生か中学生の頃〇〇の児童養護施設にいませんでしたか?」

(言った 言った 一気に言った 人違いでもいい)


私は、ドキドキと返事を待っていると
石神教官は、私の方に近付いてきた

(やっぱり、人違いか)

幸子
「変な事聞きまして、申し訳・・・」

石神
「いや、謝る必要はない・・・」

(え?)


私は、恐る恐る顔を上げる


石神
「久しぶりだな 幸子」


(はい?今名前で呼んだ?)


私は、自分の状況を理解出来ないでいる・・・気が付いたのに…
石神教官は、懐かしそうに目を細める


石神
「まさか、こんな風に再会するとはな」

幸子
「もしかして、知ってた・・・とか」

石神
「ああ、書類選考もあるしな」

石神教官は不敵に笑う

幸子
「あーもう相変わらず意地悪なんだから」


そこへ、ドアをノックする音


*2へつづきます(近日公開予定です)

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