マネージャーは、福富さん。

□福富くんのいとこ
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「フクチャーン、戻ってきたとかそいつどこか行ってたのかョ」
「荒北!初対面の女子に向かってそいつ呼ばわりは失礼だぞ!」
東堂が荒北に注意をする。
「椿は、イタリアに住んでいてだな、また親の都合で日本に戻ってくることになったんだ。」
「「ヘェ〜」」
「日本に帰ってくるとなったら、寿一のアプローチが凄くて参ったよ。日本の何処に引っ越すのかもわからないのにさ」
「ご両親は箱根かい?」
「こっちには、いないよ。
同じ日本にはいるけどね。
箱根学園は、寮があるから安心ねって、言ってたけどね。」
さらっと話す椿に、みんなはちょっと動揺してしまうが、
福富は理解しているのだろう、
普通に会話をしている。
「椿、早速明日からなんだが
部活に来てくれるか」
「いいよ。寮には荷物運んだしね。あー、強いて言えばちょっと問題が…」
「問題?」
「わたしの自転車置いておくところがなくて。置いてくれるかな?」
「それは構わない」
福富が頷く。
椿の顔が明るくなり
早速持ってくるからと部室を後にした。
「寿一、椿ちゃんは確か…MTBじゃなかったか?」
「いまは、ロードもやっていると聞いている」
「へぇー、早いの?」
「さあな」
お待たせッと、椿が持ってきたのはMTBだった。しかも、二台。
「ビアンキとトレックは部屋にいれたんだけど、こっちが入らなくて」
「寿一…」
新開が福富を見る。
「うむ」
福富は、やれやれといった感じだが一度許可したので、いまさらダメだとはいえなかった。
「っか、オメー、これMTBじゃねーかよ!」
荒北が吠える。
「うん、そうだよ?」
「そうだよ、ぢゃねーョ」
「こっちも私の大事な相棒なの。」
「持ってくる自転車減らせよ!」
「これでも数ある中から厳選したんだから!」
「フク!止めてやれ!」
椿と荒北が言い合っているのをいい傾向だとばかりに福富は眺めていた。
「自転車マニアは、変わってなかったか、寿一」
「うむ。そのようだ」
「椿、自転車は好きな何処に停めておくといい。荒北、まあ許せ。」
「フクチャンも、あめーな!」
「まあまあ、靖友」
新開が荒北をなだめている。
「フクよ、ずいぶんと変わったいとこだな」
「俺もそう思う」
東堂と荒北が、楽しそうに自転車を、置いている椿を見て言った。
「自転車に囲まれて育ってきたからか、見るのも乗るのも組むのも
好きなんだよ」
「それがフクチャンが、選んだ理由かよ」
「それだけじゃないがな。
ま、いずれ分かる。」
「ハイハイ、ソーデスカ」
「フクが決めた事だ、問題なかろう」
自転車を置いた椿は福富の所に戻って来た。
「寿一、みなさん、明日からよろしく」
椿は、にっこり微笑んだ。
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