ショートストーリー

□不器用な彼
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私の彼は不器用だ。

スポーツは、器用なのに。

いまは、自転車競技部にのめり込んで

いるから、前みたいになんでも

安請け合いはしないけど。

でも、いつもメールか

電話か、クラスで話すだけ。

クラスの友人には

「それはもう、別れるっていってみたいいのに」

とまで言われる始末。

「とーいちろー、ユキは、私のことどう思ってるのかね?」


金網越しに休憩している泉田に

声をかける。

「ユキに、直接聞いてみたらいいんじゃないのかな?」

「やっぱり?」

「付き合っているのかどうかわからなくなっちゃったんだよね」

「中学の卒業式からだったかな。」

「そうだよ。まあ、部活が忙しいなら仕方ないけど。私も同じようなものだしね」

「インターハイだね。」

「そ、出れるの。」

じゃあ、呼ばれているからまたねと
スコートを翻してコートに向かっていく。

「塔一郎」

練習から戻ってきた、黒田が寄ってくる。

「ユキ。」

タイミング悪いやつだなと笑って言う。

「かなと喋ってたよ」

そういってテニスコートを指差す。

「かな、頑張ってんなー」

金網越しに、走り込んでボールを追いかける、彼女をみた
「インターハイ出るって言ってた」

「スゲェな。あいつ」


「あと、ユキと別れようかなと言ってた」

「はっ!?」

「ユキ、メールと電話とクラスでしか話をしないんだって?それならボクが入る隙間はあるよね?」

「と、塔一郎、てめえ。」

泉田は大胆な発言をする。
それも、煽っているのか本気なのか。

「ユキが、そんな感じじゃ、ボク以外の男子だってかなのことはほおっておかないよ?」

「わあってるよ、そこら辺は抜かりなく排除してキテるんだからな!」

だけど!といって黒田は声をあらげた。

「ぜってぇ、塔一郎だけに
は、渡さねェ!いくら仲がいい幼なじみ三人組だからって、俺が最初に手をつけたんだからな!」

黒田は金網を登りはじめ、テニスコートに向かって叫んだ。

「かなー!好きだぞーー!」

黒田の突然の告白に、ボールを落としてしまい、皆の注目のを浴びてしまった。

「あの、バカ、、、」

黒田、寝言は寝てから言えョとか、
公開告白なんて、おめさんやるな
と、あとから出てきた3年生らしき、
先輩たちに、からかわれている
姿を、みるとやっぱり彼は不器用なのだと、私は想ってしまうのだ。
 

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