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暗闇の中、月の光に照らされて
ゆらりと動く影がある。

見たところ真っ白な検査着だったであろうソレは真っ赤に染められていた。

長い髪で隠され顔は見えない。

身を切るような寒空の下
その小さな影は、人間だった残骸に包まれていた。



崩れ落ちた建物の中で唯一、形を保っていた部屋の一室には
一体の死体と赤い塊。

「さようなら」
そう呟くと部屋は火に包まれた。

火の光でその影が美しい少女であったことがわかる。

彼女は火をしばらく見つめると
跡形もなく消えた。



まだ誰も異変に気付かない
世界は休むことなく変わっているのに
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