あなたと私

□大事件!!!
1ページ/7ページ

だいぶん秋色に町が染まってきた気がする今日この頃。
(体は学校の中にあっても心はどこか遠くの空を泳いでいるような気がするのは私だけだろうか?いや、違う。現にりのは窓の外をもう20分は見ている。りおはもう夢の世界に旅立ってしまっているようだし。)

「馬が早く走る。〜。〜〜〜。」

今は英語の授業なのに全然やる気が起きないかりん。
それをめざとく(というか、エスパーで?)読みとる松本。
と、ここまではこの頃パターン化してきている。
「もぉ〜。かりんさん!!先生の話聞いてましたか!?」
いつも通りかりんをしかりにかかる松本。が、きょうは痛恨のミスをしていた。

「話は聞いていませんでしたが、黒板の文字は見ていました。そして質問があるので聞いてもいいですか?」

「し、質問!?い、いいですよ。きなさい!!!」
「先生は馬が早く走るという文を、 馬が早る、と書くのですか?」
「はぁ!?」

かりんからの変な質問に春野は耳を疑う。

「そんなの言うわけないじゃないですか!!どこにそんな...。あっ。」

春野の黒板に書いた文字はしっかりと馬が早く走る、ではなく、馬が早るになっていたのだ。

「っ...。」
何も言い返せない春野に、勝ち誇ったような顔のかりん。


「どうやら今日は敗けみたいですね、松本先生?」

ふいに、教室の後ろから透き通るようなかっこいい声がした。

「あっ!イケメン先生!!」
「イケメン〜!」
「何しに来たの〜?イケメン!!」

後ろを向いた生徒たちの口からは次々とイケメンという言葉がでてくる。

「嬉しいけど俺は池面だから。」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ