意気地無し少年と自傷少年。

□同居なんて…。
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視点、八雲。
「鈴鹿春樹!お、俺と…俺と一緒に住んでくれ!」
「は、はぁ!?」
まあ、まずそういう反応だろう。何か春樹が喜びそうな事…。
あ…
「今日姉貴来てるからカレー作るんだよ。好きだろ?」
「…じ、じゃあとりあえず…食べに行くよ…」

家。
よかった〜何とか呼べた!
でも絶対春樹の奴荷物持ってこないだろうな。
ープルルルル、プルルルル…
“はい。”
“荷物持ってこいよ?”
“や…だ。”
“駄目!持ってこい!”
“なんー
ーピーッ、ピーッ。
へっ、きってやったぜ!

視点、鈴鹿。
30分後…。
康のやろー!
ーガチャッ…
「お、お邪魔しまぁす…」
「お!ちゃんと荷物持ってきたな!」
「だって持ってこいって言ったの康じゃん。」
「…まあ、気にせず入りなさい!」
「ぷっ。なんだそれ。」
あれ、自然だ。いいな。こんな感じ。
昔もこうだった気がする…。
幼い康が目に映る。
「康…待って。」
「…?どうした、春樹。」
「…っ。…何でも、ない…。」
昔には戻れないんだ。誰よりも自分がわかってたくせに…。
馬鹿だ。
ーパシッ。
「っ。」
まただ、手を引かれて…
「しけた顔すんな。笑え。」
「…もう、笑い方なんて…」
また泣きそうになる。
すると横から声がした。
「…あら!いらっしゃい!…ってあれ?春ちゃん!?」
「あ、茜姐さん!…お久しぶりです。」
「いやー!また可愛くなっちゃって!」
いや、可愛くはないけど…
「ぶふっ。」
おい八雲、笑うなよ。丸見えだぞ。
「あ、早くカレー作ってよ。」
「あ?てめーも作るんだよ、康介。」
「…はい。」
懐かしい。八雲家の姉弟喧嘩。
「ぷっ。」
「あ!春樹今笑っただろ!」
「…仕返し。」
すると横から茜さんが肩をぶつけてきて、
「春ちゃんも康介と作る?」
「…はい。」
康介というところに拒否気味になったが何とか受け入れることにした。
「何だよ、嫌そーな顔しやがって!」
「別に嫌じゃないけど。」
めんどくさー。あ、ダメだ!そんなこと。

ーグツグツ…。
「康介〜リンゴ入れて〜。」
「え?…り、リンゴ…どうやって…。」
どうやって入れるか見てやる。まあ、康のことだからな、普通にきって入れることだろう。
ーゴトッ。
「こ、こうか…?」
「あ、予想通り。」
「やっぱり?こうだよな!」
「違…
ーボカッ
「イッタ!何すんだよ!」
「いつも家はすりおろしてるだろうが!!!」
あーあ。馬鹿か。
早くこんなところ。出たい。じゃないと…
苦しくなる。

視点、八雲。
『ご馳走様でした!』
よし、俺の予想では姉貴が帰った後、春樹も流れで帰るとこだろう。阻止せねば!
「そういえば春ちゃん今日泊まってくの?」
え、そのきたか!?
「あ、あの、いえ…
「そう!俺が呼んだの!」
「あ、そう!」
危な!くそ!春樹の奴断る気だっだろ!
「い、いや、あの、お邪魔でしたら帰るので…!」

視点、鈴鹿。
「いいのよ!私は帰るから。」
「えっ!」
「じゃあね!早く寝るのよ!」
ーガチャッ…
「あの僕用事思い出しましたので!」
ースッ。
康は何故か玄関のドアを背にして前に立った。
「荷物持ってきた癖に帰るんだ?」
「康が持ってこいって言うから。」
「とか言って本当はちょっぴり期待してたr…
ードゴッ
「んなわけないだろっ!」
「い、痛…な、殴んなよ…」
ぼ、僕が期待してる!?
ふざけるな…そんなこと…!
「お願い!本当!お前ん家親いないんだろ?俺ん家もいないからさ!気にすんなよ!」
「そういう問題じゃ…
「じゃあ、何?」
聞くなよ。阿呆。空気も読めない癖に…。
「ここにいると…暖かくなっちゃうから…懐かしくなっちゃうから…」
「春樹…。」
気づけば泣いてて…気づけば抱いてくれた。
「情なんて…移すな…。」
「わかった。俺。学校では皆と同じ行動をとる。でも、ここではそばにいる。ずっと…。」
「…うん。」



…馬鹿。




いや、馬鹿なのは、
…僕なの…かな。。。
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