シカマル
□初恋
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「さてと……このまま帰ってもめんどくせぇからな……」
俺は空が良く見える丘に向かうことにした。
そこは人が来ることはほとんど無く、昼寝をするにはもってこいの場所だ。
が、
そこには見た事ない少女が独り。
空を見上げる彼女は、今にも泣きそうな顔をしていた。
……なんだ?この感じ……目が離せない……
俺は金縛りにでもあったかのように、その場でただ彼女を見つめていた。
「……何か用?」
ハッと我にかえると、彼女は無表情で俺を見ていた。
「……あなた誰?」
「俺は奈良シカマル。お前は?この辺じゃ見ない顔だけど」
「……そう。何の用?」
「は?俺はただ昼寝しに来ただけで、お前に用があるわけじゃねぇよ。」
「……そう。」
それだけ言って、そいつはまた空を見上げる。
「いや、だから名前……」
「……」
「……はぁ。答える気ねぇのかよ。」
おれ俺は頭を掻きながら溜息をついた。
こりゃ無駄だな。と思った俺は、少し離れた所に寝転がりまぶたを閉じる。
「……みどり」
聞こえるか聞こえないかの声で発された言葉に目を開ければ、彼女はまた空を見ていた。
「みどり?お前の名前か?」
「……そう。」