ほん 2
□気楽
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真っ青でもない、いつもの空を見上げては溜息を吐く。なんともない日が何よりも嫌いで、退屈だった。
何も考えていないと思われているが、所詮は憶測でなんの根拠もないこと。私のことを知ろうともしない人に、言われたところで反論する気にもならない。呆れて自虐的な笑みを零す。
歩くことが簡単だというなら、どうして疲れた時に歩きたがるのか、私には理解不可能だったし、彼らは自分たちの美徳を私に押し付けては、面倒くさいやつだの、甘えてるだの私を罵った。
私はそれに納得いかず、でも彼らの美徳は日本の中でも多数決で決められていて、ほとんどの人も私と関わったらそう思うのだろうか、なんてバカなことも考え始めた。
結局答えはでず、そんなもんと鼻で嗤った。
青空が嫌いと愚痴を零した私を、周りは雨が好きなんて変な奴と噂した。
誰一人雨が好きって言っていないのに、どうしてそんなことを噂されるのか疑問でならなかった。
雨も嫌いな私は、毛布を離さずに夜を過ごし続けた。寒くて、どうしようもない孤独感を味わうのが嫌で仕方なかった。
孤立してしまった私には、何もなかった。元からなかったのに、私はそれに気づかないでいた。そんな私は間抜けで大馬鹿者。空っぽな私は満たされぬまま、また一年を過ごした。
無駄な一年間、でも生きた証拠でもあった。それでも、このやるせなくて、何とも言えない気持ちがあるのはなんでかは分からないでいた。
悲しいはずなのに、泣くことができなくなった。
彼は、そんな私をただ抱きしめ、ありがとうと言った。
大方言いたいことが分かって、思わず抱きしめ返した。ありがとう、なんて言われたことくらいあるはずなのに。
流れることはなかった涙が、私の荒れた頬を止めること知らないかのように流れ続けた。
彼は私の頭を撫で、再びありがとうと言った。