弱虫ペダル
□願いごと
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ー高校生時代ー
「まっきちゃーん!!誕生日おめでとう!!」
やはり……と何かを悟ったのか巻島裕介はため息をついた。
「なんだ巻ちゃん、そんなひどいため息をついていると幸せが逃げてしまうぞ。まぁ、この山神東堂尽八様が電話したからには巻ちゃんは幸せだろうがな!!」
「山神関係ないッショ……」
彼はベッドの上で目を閉じた。
自分が生まれて18年。今、思い返せばいろいろなことがあった。ロードを始めたこと、尽八と出会ったこと、勝負に負けたこと、勝ったこと……。今度のインハイ、アイツと最後の勝負になると思うと寂しく感じた。
「どうした巻ちゃん?」
「なんでもねぇッショ。つか、切る」
「待て!!電話に出たってことは今日はオフなのだろう?実はだな、俺もオフなのだ」
「で?」
「デートしよう」
「断るッショ」
めんどくさった。オフの日くらいゆっくりしていたい、そう思い彼は昼寝をしようと布団にもぐった。が、枕元の携帯の着信音が鳴り、電話に出た。
「少しくらいいいではないか。本当は巻ちゃんに会いたいんだ」
会いたい。そんなことはこれっぽちも思っていなかった。でも、会いたいと一言聞くと、なせが無性にムカムカしてきた。
「わかったッショ。それじゃ」
「巻ちゃんの家に行くぞ!!」
「は?えっ?!」