短編集
□『 』と笑って言う
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「ねぇ、ダニエール」
「ア○エールみたいに呼ぶんじゃねぇ、なんだ」
「休暇頂戴」
「無理だ」
「えー、働きすぎて死ぬぅ」
「じゃあ、死ね」
「酷。可愛い可愛い部下だって云うのに」
「どこが可愛いのか理解できんな」
ブーブーと不満を垂れるコイツとはかなり付き合いが長い。
上司と部下という関係ながらタメ口なのもそのせいた。
仕事もできるし腕もいい。
頼れる右腕的存在だ。
だからこそ、気に食わねぇ。
「ねぇ、ダニエルー。昼休みもなしって酷くない?」
「うるせぇ。口動かしてる暇があるなら手を動かせよ」
「言われなくても動かしてますー。でもさ、最近忙しすぎだよ? 休んでる?」
「忙しいのは何処の部署も同じだろうが。とくに、ライブラのせいでな」
あ、地雷踏んだ?
ダニエルはライブラをあんまり好きじゃないみたいだし。
とくに、副官であるスティーブンのことを。
まぁ、持ちつ持たれつって関係も楽でいいと思うんだけど。
餅は餅屋でしょ?
ライブラのおかげで助かってる部分も多いと思うんだけどなぁ。
Prrr
いきなり私の端末が鳴り出したから吃驚した。
誰だろ。
みると噂のスティーブンからメッセージが。
[今日のお昼一緒にどうかな?]
うーん、仕事が忙しいし昼は無理かもなぁ。
あ、夜なら大丈夫だよっと。
メッセージを書き終えたところでダニエルがこっちをみているのが目に入った。
「どした?」
「……スティーブンか?」
「当たり。お昼のお誘いだよ。でも今日は無理って答えといた」
「そうか……」
「ダニエールってば嫉妬ー? やー、モテ期到来かなぁ?」
「変なこと言ってると手錠かけるぞ」
「いくらなんでも職権乱用でしょ」
少し笑って対応した。
こんな平和な時間がずっと続けばいいのに。