短編集

□ピクニックに行きたい
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H・Lのある日の昼下がり。


私はお昼を食べようと朝買っておいたサンドイッチを手にして座っていた。


朝御飯を今日は抜いてきてしまったのでお腹ペコペコだー。


「お、サンドイッチか。美味しそうだな」
「番頭はまたサブウェイですか。好きですねぇ」
「美味しいからね。交換するかい?」
「んー、少しだけなら」


サブウェイのやつ食べたこと無いんだよなぁ。

そんなことを思っていると番頭は私の隣に座ってきた。
もういつもの事だから驚かないぞ!


サンドイッチをちぎり番頭に差し出すとそのままパクッと食べられてしまった、えぁ!?

これは、俗に言う[あーん]というやつでは!?
番頭はこれを狙ってたのか!?


「んー、美味しいね。何処の?」
「家の近くのパン屋さんです。今度買ってきましょうか?」
「いや、いい。リリーに貰うし」
「交換の間違いですよねー?」
「ハハハ、そうだね。交換だ。というわけでほら、あーん」
「な……!自分で食べらモゴ」


番頭があーんってしてきたのて異論を唱えていたら口に思いっきり突っ込まれた。
むせる。


「モグモグ、お、美味しいですね!今度かいます!」
「いや、僕のあげるよ?」
「遠慮します」


番頭はにこやかに酷いなぁ、何て言っていたけど気にしない。
気にしたら負けだ!


すぐそこで買ってきたジュースを開けて飲む。

すると左横にチェインがいつの間にか座っていた。
いつものことだけど音もせずにあらわれるのはびっくりするからやめてほしいかなー。
因みに番頭は相変わらず右横でランチを食べていらっしゃる。


「隣、いい?」
「もちろん!」


モグモグとサンドイッチを食べていると、チェインがどうやら見つめているみたいなので


「交換する?」
「え、いいの?」
「うん。美味しいものは皆で食べた方がいいもんね」
「ありがとう!」


チェインにサンドイッチを一きれ差し出すと菓子パンを一きれ差し出してくれた。

ありがたくいただき、ジュースで喉を潤す。


「これ、美味しいね。今度買ってみようかな」
「一緒に買いにいこうか?」
「うん、そうしよ。ありがと」

そんなやり取りをしていてふと気づいた。

番頭食べ終わってるのに何でニコニコこっちをみてるんですか?

嫌な予感がして視線を会わせられないでいるとレオとザップが帰ってきた。


「あ、皆でお昼ですか? 僕も外で食べてこないで買ってくればよかったです」
「コーヒーでも淹れようか?」
「いや、いいですよ。お昼ごはん中みたいですし。自分で淹れます」
「あぁ、少年。僕のも頼む」
「はーい」


一気に賑やかになったなぁ。
やっぱり皆と一緒にお昼は楽しくていいよね!


「お、サンドイッチじゃねぇか。もーらい」
「あー! 私のサンドイッチをー!!」


ふと、よそ見していた時にザップにサンドイッチをとられてしまった。
食べてきたんじゃないの!?


「ザ〜ップ?」
「くそ猿が」


何だか隣のお二人も怒ってくれているようで流石のザップも小さい声で謝った。
え、あのザップが謝った?!


「コーヒーどうぞ」
「おお、助かった」
「ありがとう、レオ。番頭はまた徹夜ですか? 寝た方がいいですよ。手伝いましょうか?」
「いや、もうすぐ終わるんだ。構わないよ」
「兎に角、無理はダメですよ。チェインもレオもそう思うでしょ?」
「確かに最近疲れてるみたいですし」
「適度に休むことも必要です」
「ほら」
「わかったわかった。昼休みが終わったら休ませて貰うよ」


まぁ、昼休みも休みには違いないですもんねって、書類見てるじゃないですか!


「仕事、中止!」


番頭から書類を奪い机に置く。


「おや、皆様お揃いでお昼ですか?」
「ギルベルトさん。買い出しですか?」
「はい。おや、それはキズリングのサンドイッチでは?」
「知ってますか!? おいしいですよね。ここのサンドイッチ。いつも買ってます」
「それは素晴らしいですね。すぐ売り切れると聞いてますが」


ああ、そういえばそんなことを言ってたような。


「へぇ、そんなに珍しいものだったんだな」
「そんなものをいつも買ってきてたのね」
「早起きでもしてるんですか?」
「いや、早起きなんて。今日おも朝ごはん食べられなかったからサンドイッチ買ったんだし。それに、このサンドイッチの開発者私なんですよ。それ経由で安く売ってくれるんですよね」

「………ええ!?」


なぜ驚かれたし。解せぬ。
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