Novel

□Spaの街
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シン「欲しいものを見せてくれるカギか。それは本当だったのか?●●」

欲しいもの…。
それで私は、あの色んなシンさんを?

●●「そうかも、しれません」
リュウガ「で?お前は何を見たんだ?」

うっ…言うのが恥ずかしい…けど、みんなが私の言葉を待っている。
●●「女湯の滝のお風呂に入っていたら水着のトップが滝に引っ張られて、気付いたら白い服の女の人に3つのカギを貰ったんです。金と銀と、普通のカギです。カギを開く扉が現れてそれぞれで夢のような出来事が起きて、そして最後の普通のカギを開けたら…この混浴に立っていたんです」
ハヤテ「でも、欲しいものを見せるだけなら、たいしたお宝ってわけでもねえんじゃねえの?」
ナギ「確かに。結局、ただの夢なんだろ?」
ロイ「ヒーッヒッヒッ。これだからシリウスの連中は何もわかっちゃいないんだ」
ロイ船長が勝ち誇ったように高笑いをした。

ハヤテ「やっぱシメとくか」
ロイ「ま、待て!単に夢見せてくれるだけならオレだってこんなに必死に探さねえ。真珠ちゃんとのあんなことやこんなことは妄想の中で経験済みだからな!」
舐めるように見つめられると、身震いが起きる。

●●「…や、やめてください」

…いったい何を想像されてるんだろう。

シン「二度と妄想できねーように、まずは頭を撃ち抜いとくか」
ロイ「まずはって、頭撃ち抜かれたら死ぬだろフツ―!バカ航海士!」
シン「そのフザけた口も塞げるから一石二鳥だろ?」

リュウガ「ロイ、てめえの妄想話はいいから、早くカギについて話せ」
ロイ「だから、そのカギによって見た夢の中で、好きなものを現実に選べるんだよ」
●●「現実に…選べる?」
ロイ「そうだ。全て見た後で、これが良かったと思ったものを現実に与えてくれるらしい。例えば、金銀財宝に囲まれた夢が良かった、と思えば、現実にそれが出てくる。真珠ちゃんがリカーの船に乗って毎日オレとイチャついている夢が良いと思えば、そうなる」
トワ「それはすごいですね…。じゃあ、●●さんも何か変わったんですか?」

私は…いつものシンさんが一番好きだと思ったから…。

チラリとシンさんを見る。
●●「ううん。多分何も変わってないと思う。普通が一番良いと、思ったから」
ハヤテ「欲がねえヤツだな。もったいねえ」
ナギ「●●らしいな」
ソウシ「それより…今また水着が消えたのならもしかして…」
ソウシさんが言い終わらないうちに、ぱぁーっと滝から光が差してきた。

湯の女神「あなたが落としたのは何ですか?」
そこには、さっきの綺麗な女の人が立っていた。
●●「水着ですっ」
今度こそ、はっきりと言う。

湯の女神「あなたが落としたのは金のカギですか?」
●●「あの!水着を返してくださいっ」
ロイ「ああそうだ。金のカギを落としたんだっ!」
ロイ船長が女の人の前に出てきて、叫んだ。
リュウガ「ロイ、お前が口を挟むとろくなことにならねえ。黙ってろよ」

湯の女神「私は嘘つきと変態は嫌いです。水着も返しません」
ロイ船長を冷たく見つめてそう言い放つと、女の人はすうっと滝の中に消えていった。

トワ「変態って言ってましたね…」
ハヤテ「何でコイツが変態って知ってたんだ?」
ナギ「見るからに、ってことじゃねえのか?」
ソウシ「それより、水着は返しませんって言ってたよ」
リュウガ「ワケありのくせえ匂いがプンプンしやがるな」
全員が黙り込む。

シン「…トワ、受付でありったけの女物の水着を買って来い」
トワ「えええっ。僕がですか?!」
リュウガ「そうだな。さっきの姉ちゃんは水着を欲しがってたみたいだったしな。滝の中に突っ込めばまた出てきてくれるかもな。ロイのツケで買って来い」
ロイ「なんでオレのっ?!」
船長がロイ船長の肩に手を置いた。
リュウガ「お宝探したいんだろ?お前にはデカい夢があるんだろ?」
ロイ「あ、ああ…」
リュウガ「だったら減るモンでもねえしお前のタダ働きに上乗せでいいじゃねえか。」
ロイ「うっ…し、しかたねえな」


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