Novel

□Spaの街
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シン「ところで、どうして水着のトップを着けてないんだ。お前は露出狂だったのか?」
●●「ち、違います!無くしちゃったんです。というかこのお店、不思議なことが起こって…それで…」

シンさんに説明しようとすると、

ロイ「あーーーっ!真珠ちゃんっ!!!」

え???
男湯の方から、水着にエプロンをつけたロイ船長が近寄ってきた。
●●「なんでココに…それにその格好は?」
ロイ「こんなところで会うとはオレ達はやっぱり運命の恋人同士だ!…って、いってえ!!…ありえんサイズの石が飛んできたぞ…」

シンさんがそばにあった大きな石をロイ船長に投げつけていた。
シン「気色悪い恰好で視界に入るな。コイツにも近寄るな。」
ロイ「くそ!殺す気か?!相変わらず容赦ないムッツリ航海士だな!」
シン「お前なら殺しても死なねーよ。どこでもわいてくるヤツだな。うっとおしい」
ロイ「うっとおしいとは何だ!お前こそ、いつもいつもオレの真珠ちゃんとイチャつきやがって!」
シン「寝言は寝て言え。●●は俺の女なんだから当然だ」
ロイ「当然だと?!くそっ!オレだってイチャつきたいんだっ!だからオレはあのお宝を探してこの街に…おおっと、これは秘密だった。その為の潜入捜査なんだからな」
シン「お宝?この街に何かあるのか?」
シンさんがピクリと反応する。

リュウガ「ほぅ。お宝があるのか。詳しく聞かせてもらいてえ話だな」
気が付けば船長とみんながロイ船長の周りを囲んでいた。
ロイ「げっ!リュウガ。な、何だよ。シリウス全員で脅したってオレは何も知らないんだからなっ」

トワ「あれ?●●さん、いつのまにコンヨクに来てたんですか?」
ソウシ「シンと一緒だったんだね。こっちにも温泉があるなんて気付かなかったよ」
リュウガ「水着じゃなくてバスタオル姿ってのも新鮮だな!はっはっは!シンのおかげかすっかり女らしい身体になったみたいじゃないか!」
ハヤテ「船長、それ完全にセクハラっす」
ロイ船長を取り囲みながらも、みんなが私の方を見る。

シンさんが巻いてくれたタオルは解けそうにはないし、透けてもいないし、温泉に入っているから見えにくいはずだけれど…恥ずかしくて後ろに下がってしまう。

シン「チッ。●●、お前は女湯に戻ってろ」
シンさんが私の前に立ち塞がって皆の視線を遮って――言われた通り岩風呂からあがって女湯に戻ろうとすると、

あっ……?!

タオルの隙間から、水着のショーツの紐が何かに引っ張られる。

●●「う、うそっ…!」
シン「どうした?」

スルリ。

手を伸ばして防いでも、あっという間にショーツは苦しげな顔像の吐き出す滝へと消えていく。

水着…両方無くなっちゃった…。

●●「…シンさん…し、ショーツが…」

ロイ「なにぃ?!今すぐこのロイ様が助けてやろう!」
ロイ船長が狭いお風呂に入ってこようとして――

ゴンッ

シンさんがまたロイ船長に石を投げた。

シン「コイツに近づくなと何度言えばわかるんだ変態。で、水着がどうした?」
●●「水着の下が滝の中に消えて」
シン「滝に消えた?どういうことだ?」

ロイ「し、真珠ちゃんっ!!女湯で何か見なかったか?」
●●「な、何かって…ロイ船長、知ってるんですか?」

もしかしてあの不思議な現象を知ってるの?

ロイ「教えたら、オレに協力してくれるか?」
ナギ「こいつに協力する必要はないんじゃないか」
シン「同感だ。知っていることを今すぐ吐け」
ハヤテ「船長。とりあえずシメたほうがいいっすよね」

ロイ「り、リュウガ!相変わらずお前のとこの船員は躾けがなってないな。ととと取引ってモンを知らないのか?!」
リュウガ「ん?協力するにしてもお宝がどんなもんか聞かねえことにはなぁ」

ロイ「…わかったよ。このスパの街に『その時一番欲しいものを見せてくれるカギ』を授ける女神がいると聞いて探していたんだ。何故か女の前だけ、つまり女湯にしか現れてないみたいなんだがな」
●●「カギをくれる女神って…!まさか…」
リュウガ「何か知っているのか?」
●●「はい!さっき、会いました」
ロイ「なにぃ!!じゃあやはりこの店がアタリだったのか。スパの街で転々と女湯を探していたんだ」
トワ「それって女湯に入ろうとしていたってことですか?!」
ソウシ「よく問題が起きなかったね」
ロイ「問題が起きてない訳じゃない!オレはこの店でうっかり女湯に落ちて番頭に掴まった!だから今、ここでタダ働きさせられてるんだ!」
ナギ「威張って言うな」
ロイ「いや違う!わざと掴まって働きながら調べていた!さすがオレ様!」
トワ「…今言い直しましたよね?」

●●「じゃあ掃除してた女の人が言ってた、ノゾキをした変態さんってロイ船長のことですか?」
ロイ「変態だなんてその可憐な唇で褒められると照れるじゃないか、真珠ちゃん」
ハヤテ「ぜんっぜん褒めてねーよ」


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