Novel

□tukimi
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注※中身入れ替わってます※ハヤテ⇒シン、シン⇒ソウシ、ソウシ⇒ナギ、ナギ⇒ハヤテ※
「ぷはっ!うめーっ」
「よく呑気に飲んでいられるな。というか少しはナギらしく飲め」
酒を飲み干して一息つくと、隣にいるシン…いや、オレが呆れたようにため息をついた。

「●●は食堂に水飲みに行ってるし、今くらい気ィ抜いたっていいじゃねーかよ」
「このまま何も起こらず朝を迎えられるといいんだがな」
ったく、シンはいつも細けーっつうか心配症すぎるよな。
何事もやっぱオレみたいにドーンとヨユーで…

「おい、お前ら」
背後から船長に突然声を掛けられる。
「うお!びっくりした!何すか?」
「おい」
オレ(シン)がオレを小突く。
やべえ、素だった。
「あ…な、何ですか?」
慌ててナギ兄っぽく言い直す。

船長は気にも留めない様子で、
「ロイの野郎が食堂に酒を取りに行ったまま戻ってこねえ」
「どーせ対局に負けそうだから逃げ出したんじゃないですか」
オレ(シン)が答えた。
「まぁそれはどーでもいいんだが、●●はどこいった?」
「食堂に…」
そう言いかけてハッとなる。
オレ(シン)と顔を見合わせ、
「「ロイの野郎…!」」
二人同時に立ち上がり食堂へ向おうとすると、目の前にフラフラした足取りの●●が現れる。

が。
何故か鼻血を垂らしている。

「おい!どうした?ロイに何かされたのか?」
オレ(シン)が駆け寄る。

「剣…(じゃねえ)ハヤテ〜!」
●●は俺の名を呼んでから抱きつこうとしたが、オレ(シン)は横に避けた。
「ハヤテ。何でよけるの〜?」
「いや…悪い。寒気がした」
「ひっどーい」
アイツ、あんな慣れ慣れしかったか?
つーかクネクネして気味わりぃ…

ドタドタドタッ

大きな足音がしてロイが甲板に戻ってくる。
「あ、ロイ船長だわ!いつみても素敵ね!二人に言っておくけど私の身も心もロイ船長のものなの」
●●が芝居ががったように寝惚けたことを言い始める。
「んなわけねーだろ。どういうことだよ?」
聞き返すと、
「ロイ船長のそばにいたいからリカー号に移ることにしたの」
とロイにしなだれかかる。
どうしちまったんだ?酔ってんのか?

「や、やめてくださいっ!」
ロイは●●を突き飛ばした。
「ロイ!てめえナニ突き飛ばしてんだよ」
オレが●●を庇おうと立ちふさがると、ロイは勢い余って突然間に入ったオレの胸に飛び込んでくる形になる。
正確にいうと、ナギ兄の胸に…だが。

「ご、ごめんなさい」
ロイがばっと後ろへ下がり、顔を赤らめる。

…な、何だ…このトキメキ。
いやいやいやいや!
ロイだぞ?何でオレはドキッとしてるんだ?!
きもちわりーだろ!

「おい、ロイ。お前●●に何をした?」
オレ(シン)がロイの腕をつかむ。
が、掴んだまま黙り込み、しばし二人は見つめ合う。
絵的にはロイとオレが見つめ合ってるから気味わりーが…
そしてオレは何故かそれに少しばかりモヤッとした気分になる。
何でロイとシンが見つめ合ってたらモヤッとするんだ?!
ますますきもちわりーだろ!!


「…ナギ。緊急事態だ」
シンが振り返ってオレを見る。
ナギって、そうか。今はオレがナギ兄だ。
「え?何だよ?」
「●●…お前、好きなヤツはいるか?」
オレ(シン)は何故かロイに訊ねる。
「え?そ、そんなこと突然聞かれても…わからない…です」
ロイが答えた。

ま、まさか…

「もう俺達にバレてる。コイツの想い人が俺達でなければ全く問題ないが…」
「つーことは…●●とロイが入れ替わってんのかよ?!」
「え?何でわかるんですか?それに好きな人って…?」
ロイ(●●)が驚いた顔になる。

ろ、ロイの野郎…!!なんっっつーうらやましい入れ替わりしてんだよ?!

「ちぇっ!せっかく真珠ちゃんのボディを借りてコックと剣士を惑わした後、こっぴどく振ってやろうと思ったのにな」
●●が可愛い顔で悪態をついた。
やっぱあっちがロイか…。

オレ(シン)が●●(中身ロイ)の腕をねじり上げた。
「いいか。その身体で少しでも変な真似をしてみろ。マトモな状態でリカーに戻れないと思え」
「おいおい。●●の身体だぞ!暴力はふるえねーだろ?な?」
●●(ロイ)が卑怯な手で訴える。
が、オレ(シン)にそんなものは通用しない。
「身体に快楽を与えつつ精神を病ませる方法はいくらでもある。中身がロイだと思えば手加減なしで試せるってものだろう?」
「お、お前…そんな隠れたシュミがあったのか?変態根暗剣士め」

オレ(シン)のせいで変なネーミングつけられた…

●●(ロイ)は観念したように言う。
「ちぇっ!わかったよ。オレだって嬉しすぎてまだなんにも出来てねえんだぞ!この身体であんなことやこんなことをしたいのに考えてただけで鼻血が止まらなくてな!」
「きゃー!絶対しないでください!!」
ロイ(●●)が悲鳴のような声になる。
「何だ、真珠ちゃん。オレのしたいことがわかったのか?意外に変態さんだな」
●●(ロイ)が嬉しそうにセクハラをかます。

「ナギ、縄だ」
オレが足元にあった縄を投げると、オレ(シン)は●●の身体を後手に縛り上げた。
「●●。お前の身体に手荒な真似をするつもりはないがロイに弄られまくるよりマシだろ」
オレがいうと、ロイ(●●)は頷いた。

「●●。ポケットを探ってみろ」
オレ(シン)が言うままロイ(●●)が自身のポケットを探ると、案の定、例の団子が出てきた。オレ(シン)が取説を拡げる。

そこにはオレ達の時と同じようなふざけたセリフが書かれていた。
だが最後の一文が違う。

<貴方の嫌いな相手には知られてはいけません。気付かれた瞬間に永遠に戻れなくなりますのでご注意>

「どういうことだ?」
オレとオレ(シン)は顔を見合わせた。
縛られたロイと●●だけが不思議な顔でオレ達を眺めていた。

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