Novel

□シリウス事件簿 消えた■■■
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ギョ〜ギョ〜
突然頭上で鳴き声がして、見上げると数羽のカモメがぐるぐると旋回している。
トワ「えっ…?キケン?」
叫ぶようなカモメの声にトワ君が神妙な顔になる。

ザッパーンッ

ぐらり。

船が大きく揺れて―――目の前に巨大なイカが姿を現した。
今までに見たことも無いくらい大きな大きなイカが、船の往く手を阻んでいる。

トワ「あっ!!あそこにっ…」
トワ君が指さしたイカのひれの先端の目立つ位置に、白い布がパタパタとはためいていた。

あれは………私のパンツ?!

ハヤテ「オイ。アレ…なくなったカギじゃねーか?!」
しかもイカの足のような部分にはキラリと光るカギのようなものがひっかかっていた。

ソウシ「蝕腕にささってるね。まさか犯人が巨大イカだったとはね」
シン「獲物を獲る時に使う部位だな…普段は隠されているはずだが…伸びきっている」
リュウガ「オイオイ、あんな馬鹿デカいイカが盗んだのに気付かなかったってワケか?」
ハヤテ「どーやって盗ったんだ?!ありえねー」
ナギ「価値わかってやってンのか?」
シン「フン。色々考える前にあの変態イカを何とかしねーといけないようだな」
ナギ「ああ。今夜のメニューはイカ刺しに変更だ」
ハヤテ「俺はイカより肉が良いけどっ!しかたねーな」

イカは身体を大きく揺らし、船に体当たりしてくる。
その度にシリウス号はひっくり返りそうなほど激しく揺れた。

リュウガ「しかし追っ払うだけならともかく、イカからお宝を取り返すとなるとアイツに飛び乗らねえとな。パンツも鍵も下手すりゃ海に落ちて行方がわからなくなっちまうぞ」
ロイ「ふむふむ。海賊のルールにのっとって一番先に手に入れた者が宝の所有者、ってことだな」
シン「ちょっと待て。勝手に言ってんじゃねーよ」
トワ「そうですよ!あれは●●さんのパンツなんです!所有者は●●さんに決まってます!」

ロイ「はーっはっは!そこで騒いでいろ!オレはお宝に一番乗りだー!!!
ロイ船長は勢いよく海に飛び込んで巨大イカに向かって泳ぎだした。

ハヤテ「ロイの野郎、こんな時だけ行動が超はえぇ…!」
シン「チッ。どーせアイツの言ってる宝ってのはカギより下着なんだろうな」
●●「えええっ!そ、それは困りますっ」

ざっぱーんっ

誰かが飛び込む音がして、見るとナギさんがロイ船長のあとを追いかけていた。
必死で水を掻き分けているけれど、なかなかロイ船長の近くに進まない。
むしろ止まっているような…??
…し、沈んでる?!

トワ「うわぁぁ!ナギさんっ!!泳げないのにっ…勇敢すぎますぅっ」
ハヤテ「ちょっと待ってろナギ兄ィィ!!今オレも行くっ!!!」

ざっぱーん!
ハヤテさんまで飛び込む。

リュウガ「がっはっは!ロイだけじゃなくあいつらも、いつものお宝以上に必死だな」
船長が海に浮かぶ皆を面白そうに眺める。
ソウシ「船長。でもこのままじゃ船が危ないですよ」
イカは不規則にドスンドスンと体当たりを繰り返して船の揺れは激しくなる。

ガラガラッ

どしんっ

●●「きゃあっ…」
近くにあった樽が転がってきて勢いよくぶつかり、体のバランスを崩す。

シン「大丈夫か?お前は船の中に隠れていろ」
●●「で、でも…私のパンツが…」
あんな場所に下着が晒されているのも恥ずかしいし、皆が取り返そうと頑張ってくれているのに一人で安全な所で待っているというのも申し訳ないし…。

シン「安心しろ。お前の下着は誰にも渡さない
●●「へ?」

カチャッ
シンさんが巨大イカへと銃口を向けた。
シン「悪戯が過ぎる変態イカには仕置きだ。頭ごと吹っ飛ばしてやる」

まさに引き金を引こうとしたその時―――

トワ「ちょっと待ってくださいシンさん!」
トワ君がシンさんを止めた。

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