Novel

□シリウス事件簿 消えた■■■
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シン「ところでハヤテ。部屋でずっと寝ていたお前がどうして甲板に居た?ワケを吐いてもらおうか」
シンさんがハヤテさんの方へ向き直って険しい顔になった。
シン「完全にウソの供述だ。ナギを疑う振りをして、まさかお前が真犯人、ってワケじゃねーだろうな」
ハヤテ「おっ、オレなワケねーだろっ!オレは…ええと…」

ハヤテさんは一瞬だけ言うことをためらったけれど、すぐに観念したように――

ハヤテ「…あー!くそっ。オレは探し物してたから甲板に居たんだよっ。ナギ兄が来たから慌てて隠れたけど…」
ソウシ「隠れた?甲板で隠れなきゃいけないような探し物をしてたの?」
シン「女物の下着を眺める趣味があったとかな」
ハヤテ「なっ、眺めてねーよっ!!!言っとくが下着の件に関しては、探し物してたら偶然たまたまイキナリッ!変なモンが視界に入ってきただけだからな!あああくまで!じっと見てたワケじゃねーぞ!」
シン「結局見てるんじゃねーか」
ハヤテ「あああんなタダの綿の色気もねえモン見たって嬉しくも何ともねーんだからな!!」
ナギ「いや、飾りならレースが確か少し…」
ソウシ「私は遠目だったからなぁ。飾りまではわからなかったな」
トワ「意外とみなさん、しっかり見てたんですね」
ハヤテ・ナギ・ソウシ「!!!!」

シン「…………………」
シンさんが突然振り返って、ギロリと私を睨んだ。
●●「な、何でしょう・・・?」
むにっと頬を引っ張られる。

シン「お前には警戒心とか貞操観念がないのか」
●●「いだだっ。せっ、洗濯物を干しただけで…っ」
シン「口答えするな。いい機会だから、教育しなおしてやる」

ソウシ「シン。やきもちはそのくらいにしておいたら?」
シン「別にやきもちなんかじゃないですよ。これは躾けです」
シンさんの手がパッと離される。

ソウシ「ほら、●●ちゃんのパンツをチェックしていた私たちが悪いんだから●●ちゃんを責めないであげて。」
ハヤテ「ソウシさん…何気にチェックしてたって白状…」
ナギ「私たちって、俺も入ってんのか…?」
ハヤテ「入ってんじゃねーの?レースまで見てたし」
ナギ「しかたねーだろ。外れそうになってたから近くまで寄ったんだ。レースだって見える」

シンさんは改めて私を見下ろして、きっぱりと告げる。
シン「おい、●●。今後俺の許可なく洗濯物を甲板に干すことを禁ずる」
●●「えええっ…」
シン「ええ、じゃない。返事は『はい』だ」
●●「…は、はい」

ソウシ「ところでハヤテ、結局何を探してたの?」
私とシンさんを見て笑っていたハヤテさんが、ソウシさんの質問に思い出したように気まずい表情になる。

ハヤテ「…っ、倉庫に置いてる宝箱の鍵を無くしたんっす。船長から預かってたから、ぜってー怒られると思って…。皆に知られる前にみつけようとこっそり探してたんだけど」
シン「宝箱の鍵?お前、あれはつい最近遺跡で苦労して手に入れた…」
トワ「あの中には確か、古代文明の秘宝がたくさん入ってたはずです。えええっ!?ハヤテさん、カギを失くしたんですか?!」
ハヤテ「だ、だからちゃんと探してんだろっ。ほ、ほら!鍵なんてちっちぇえこと気にせずに、いざとなったら宝箱ごと壊しゃいーじゃねーか」
シン「バカ。宝箱自体も貴重な装飾がついた値打ちあるものだ。壊せば価値は半減するに決まってるだろう。これだから無知なアホは困る。カギを無くすのはお前がマヌケすぎるからだ」
ハヤテ「ンだよ!いちおー反省してっから必死で鍵を探してたんだろ?!」

ソウシ「まあ…酔った勢いでハヤテに預けた船長にも問題があるのかもね」
ナギ「明らかな人選ミスだな」
ハヤテ「う…ナギ兄までっ!くそっ!ぜってぇ見つけてやる。コイツが変なモノを干してっからちゃんと探せなかったけど、甲板で無くなったのは間違いねーんだ!早朝にここで剣の稽古して、部屋に戻ったら無くなってたんだからな!他は行ってねえし…」

トワ「偶然とはいえ、ハヤテさんの紛失物も甲板…」
ソウシ「うーん。気のせいじゃなかな。やっぱりこの中には犯人はいないと思うけどね」

リュウガ「おー、お前ら。集まってどーしたんだ。」
振り返るとお酒の匂いをプンプンさせた船長が立っていた。

その手には――――白い綿布が…!


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