Novel

□シリウス事件簿 消えた■■■
3ページ/10ページ



ハヤテ「おっ、オレは見てねぇッ!パンツの前でナギ兄が…げっ!!」
言いかけた言葉を、ハヤテさんは口を両手で押さえて呑み込んだ。
シン「ナギが?ほう…面白そうな情報だな」
シンさんの瞳がキランッと光ったように――見えた。

ハヤテ「ちがっ!ナギ兄は仕込みしてたっつーし!オレがきっと寝惚けて夢を見てて…」
ナギ「ああ…あの時ハヤテに見られてたのか」
慌てるハヤテさんを横目にナギさんが溜息をついた。

シン「目撃者が単純バカだったことが幸いと出るか、不幸と出るか…」
ハヤテ「単純バカって何だよ!!な、ナギ兄…?」
ハヤテさんは不安げにナギさんを見る。

ナギ「さっきも言ったが、魚を取りに甲板にきた。ほんの数分だ。」
トワ「えっと、それはいつですか?」
ナギ「昼飯から少し経っていたから、多分ドクターの後だろう。白い…その…何だ、アレが…偶然目に留まったんだ。ロープに吊るしてある洗濯物が少なかったからな」
シン「ほう…偶然、か」
ナギ「誰もいないように見えたがハヤテがいたんだな」
ハヤテ「オレ…いねーし!」
シン「いないワケねーだろ。部屋で寝てたハズのハヤテは甲板に居た。しかもナギの怪しい行動を見てしまった。そういうことだろう?」
ナギ「怪しい行動を取ったつもりはねー」

ハヤテ「な、ナギ兄…じゃあ、あの行動は何でもないのか?!」
ナギ「あの行動…?」
ハヤテ「ナギ兄が洗濯物を睨みつけながら、手を伸ばしそうになって首を振ったり、頭を抱えてたり…」
ソウシ「それは怪しいね」
トワ「ナギさん、まさか…っ」

ナギ「ンなわけねーだろ。俺はロープから外れそうになってる洗濯物を見てどうするか迷ってたんだよ」
ハヤテ「へ?オレてっきりナギ兄に魔が差したのかと…でもナギ兄のことだからぜってぇ後悔してると思って、黙ってようと思ってたんだ」
シン「そのわりにあっさり漏らしちまったけどな」
ハヤテ「う、うるせー!」
ソウシ「まあ、ハヤテは秘密を隠すことが苦手だからね」
ハヤテ「でも良かった〜!マジ良かった!ナギ兄じゃなくて!」
ハヤテさんが満面の笑みを浮かべる。

ナギ「俺なワケねーだろ。繰り返すが、俺は落ちそうになってた洗濯物に触れていいものか悩んでただけだ」
トワ「確かにそれは悩みますね…」
ナギ「コイツの…なんだ…。俺が直す訳にもいかねーだろ。周りにコイツも居なかったし、すぐ戻るつもりで来たからオーブンの様子も気になって仕方なくそのままキッチンへ戻った。こんなことならお前を探して、ちゃんと忠告してやれば良かったな」
ハヤテ「まっ!オレはナギ兄を信じてたケドな!!」
ソウシ「ふふっ。完全にハヤテはナギを疑ってたよね」
ハヤテ「う、疑ってないっすよ!!けどナギ兄だって男だし、万が一の気の迷いっつーか、ええとその、何だ…ほら」
ハヤテさんの語尾が徐々に小さくなっていく。

ナギ「思いっきり疑ってんじゃねーか。」
シン「女物の下着の前で不可解な行動を取ってるから怪しまれるんだ」
ナギ「うるせー。たかがパンツだと思おうとしたが難しかったんだ。アレを平気な顔で触れるのはシンとドクターくらいだろ」
ソウシ「ははっ。私もさすがに●●ちゃんのとなるとドキドキしちゃうけどね」
●●「すみません。私がちゃんとロープに干してなかったから色々ご迷惑をかけてしまって…」

ソウシさんといいナギさんといい、色んな人に見られていたと思うとかなり恥ずかしい。
あまりにお天気が良くて甲板に干していたけれど、こんなに騒がせてしまうならやっぱり部屋で干せばよかったかも…。


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ