Novel

□シリウス事件簿 消えた■■■
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ソウシ「私が白だって言ったのは、干してあるのを見かけたからだよ」
みんなの沈黙を破るように、ソウシさんがきりだした。

トワ「見かけた?!それはいつですか?」
ソウシ「お昼を食べた後かな。ほら、朝から干していた包帯を取りに来た時にね」
トワ「あっ!そうです。ソウシ先生が乾いた包帯を取りに来て、そのまますぐ医務室に戻って行って…あの時はあったんですね」
ソウシ「遠目だったから正確じゃないけど、確かにあったと思うよ」


シン「なら、昼過ぎにドクターがコイツの下着を見た後からさっきコイツが取り込みに来るまでの間の犯行か」
ソウシ「あはは。見たってのをそう強調されると恥ずかしいな」
ハヤテ「犯行ってオイ…犯人なんているワケねーだろ」
トワ「いいえ!さっきのシンさんの指摘で全員があやしく思えてきましたね」
ソウシ「すぐに医務室に戻った私は疑われてないよね?」
ハヤテ「い、言っとくがオレじゃねえ!ずっと部屋で寝てたし、オレじゃねーからな!な、ナギ兄も違うよなっ!今まで仕込みしてたんだろ?」
ナギ「ああ。キッチンにいた。仕込み中だったからな」

シン「医務室。キッチン。自室。ずっとそこに居たと証明できる人間がいるのか?
ソウシ・ナギ・ハヤテ「…それは…」

シン「二人で洗濯をしていたトワとコイツを除いてそれぞれ一人だったというわけだ。なら誰も完全にアリバイを証明できないな。ドクターは医務室から引き返すことも出来たし、ナギもキッチンを抜けることが出来た。呑気に昼寝してたっていうハヤテにはいくらでもチャンスがあったしな

ハヤテ「…っ!シンこそどうなんだよ?さっきから嫌味ったらしく人を疑ってやがるけど、お前だって容疑者の一人だろ」
シン「馬鹿も休み休み言え。そもそも何で俺がコイツの下着をわざわざ盗まなきゃならねーんだ。百歩譲って手に入れるとしても、寄越せと言えば事足りる。」
トワ「そうですね…。シンさんが盗ることは動機として希薄ですね…●●さんに貰えば良いことだ」
トワ君が納得したように顎に手を置いて頷いた。
●●「いや…寄越せって言われても、そんなの渡せないから…!無理だからっ!」

ハヤテ「こっそり見るのが趣味かもしれねーだろ。ムッツリらしーし!」
シン「俺はべつにムッツリじゃない。それにお前らは知らないだろうが、コイツは部屋でいつもパンツ一枚でウロウロしている」

し、シンさん!!何で真顔でウソつくんですかーっ!?
全員が私を見る。
●●「違いますからっ!シンさんのジョークですからっ!!ちゃんと服着てますからぁっ!」

ハヤテ「…だから!寄越せって言っても『ハイそーですか』って手に入らねえから盗むってこともあるかもしれねーだろ?!」
シン「手に入らないワケがあるか。コイツは俺のペットだ。俺のいう事をきかないワケがないだろう?」

ペット?!

●●「し、シンさん…?あのっ…」
シンさんの目が本気で意地悪な目に変わっていく。
シン「なんなら今ここで、着けているものを差し出させてみるか?」

ヒィッ!!!!!!

プルプルと首を振って抵抗の意志を示してみるけれど、シンさんは非情にも微笑んでいる。

トワ「そそそんなのハレンチですっ!」
ハヤテ「チッ…ヘンタイかよ」
ハヤテさんとトワ君が真っ赤になって固まっている。

ソウシ「ちょっと待って、シン。パンツの重大な問題から話が逸れていってるよ。今は●●ちゃんのパンツが手に入るかどうかって問題じゃなくて、●●ちゃんの無くなったパンツがどこに消えたのかが重要なんだろう」
ナギ「ドクター…爽やかな口調でパンツを連呼しすぎです」

トワ「●●さんは僕らシリウス海賊団の宝だと船長も常々言ってますし、その●●さんの下着が盗まれたとなると…僕たちのお宝を奪われたのと同じですよ!一刻も早く取り戻さないと!」

そ、そんな大げさな…
ホントにただの、綿の下着なんだけど…。
しかも、この船に来た時に穿いてて、ヤマトにいた頃からの愛用の古い下着だし…。

シン「ドクターが白だと言っていた理由はついたとして、ハヤテ、ナギ。それぞれの発言の理由を聞かせてもらおうか」
ハヤテ「な、ナギ兄はずっとキッチンに居たんだよな!な?」
ナギ「……いや、ずっとってワケじゃない。言いそびれたが…日干しした魚を取りに、実は一度甲板に来た」
ハヤテ「ナギ兄っ…!」

シン「どうしたハヤテ?やたらとナギを庇うな。何か知ってるのか?」
ハヤテ「な、何にも知らねえッ」
ハヤテさんがブンブンと、思いっきり首を振った。

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