Novel

□シリウス事件簿 消えた■■■
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麗らかな昼下がり。
事件は起こった――

●●「あれぇ?無い…無いっ!」
トワ「どうしたんですか?●●さん?」
おかしいなぁ…
確かここに干しておいたはずなのに。

●●「干していた洗濯物が見当たらなくて」
トワ「洗濯物?あっ、●●さんのものですか?」
風で飛んだのかもしれないけれど、よりによって無くなったのは下着だった。
かなり履き込んだものだし、思わぬところで誰かに見つけられてしまうと恥ずかしい。
早く見つけないと…

トワ「僕も探しますね!えっと、無くなったものは何ですか?」
●●「う、うん。…下着なんだけど…」
そう言うと、トワ君は一気に顔を赤らめた。
トワ「で、でも今日は風が強くないし無くなるはずがないんですけど…甲板に落ちてるかもしれません。よく探してみましょう!」
二人で隅々まで探してみるけれど全然見当たらない。
いつもこっそりと隅に干してすぐに取り込むんだけど、今日はバタバタしていて取り込むのが遅くなったから…
どうしよう。
困っていると、トワ君がいきなり口調を強めた。

トワ「これだけ探しても無いとなると…これは大事件です!僕、皆さんを呼んできますっ!」
●●「え?!ち、ちょっと待って…っ!やめ…」
引き留める間もなく、トワ君は船内へと駆けていってしまった。






数分後。
全員が甲板に集められた。

トワ「これで船長以外は全員ですね」
ハヤテ「トワ、何なんだよ一体。気持ちよく昼寝してたってのに」
ソウシ「●●ちゃんに関わる重大事件だって言うから来てみたけど、どうしたの?」
ナギ「俺は仕込みがある。手早く済ませろ」
シン「一体なんだっていうんだ」

トワ「皆さん、落ち着いてよく聞いてください。●●さんの下着が無くなりました!」
●●「と、トワ君?!」
皆の前で宣言されると、恥ずかしくて慌ててしまう。

●●「あ、あのっ、海に落ちただけかもしれないし、そんな大げさにしなくてもっ…」
トワ「いいえ!今日は風も無いですし、いくら探しても甲板にも落ちてませんでしたし、明らかに誰かが故意に持ち去ったとしか思えません!そう、いわばこの船は密室。
犯人はこの中に……いるっ!

全員「………………………」


ソウシ「推理小説の読みすぎじゃないかな?この中にそんなことをする人間はいないと思うんだけど」
ハヤテ「そうっすよね!トワ!くだらねーこと言ってんじゃねえぞ。あんな飾りっ気もねえ色気のねーパンツ、誰が取るっていうんだよ」
ナギ「ちゃんとロープにかけられてねえから風に飛ばされたんじゃねーのか」

●●「…たしかに色気も無い下着で、慌てて干したからしっかり留まってなかったかもしれないですけど…うう。恥ずかしいからこっそり探したかったのに…」
ソウシ「海に落ちてるなら見つかるかも知れないね。昼からは航路は殆ど進めてないし、白い布ならもし浮かんでいてもわかりやすいから」


シン「…………」
ソウシ「どうしたの?シン。険しい顔で黙り込んで」
シン「いえ。トワの言う事も一理あると思って」
ハヤテ「オイオイ。俺たちを疑うってのか?」

シン「なら訊くがハヤテ。お前、どうして無くなった下着が飾り気のない色気のないパンツだと言い切れるんだ?」
ハヤテ「そっ、それはっ…こ、コイツのことだからどーせ、そんなパンツ履いてんじゃねえかって思っただけだよ!」
シン「トワは下着だと言ったが、誰もパンツだなんて言っていない。どうしてわかる?」
ハヤテ「か、カンだよっ。カン!」
シン「それからナギ。ちゃんとロープにかけられてなかったと、どうしてわかる?」
ナギ「………」
シン「しかもドクターは、色が白だと断言しましたね」

そう言われてみれば、みんなの言葉にはナゾが多い。

もしかして本当にこの中に下着のゆくえを知ってる人物がいるの…?

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