Novel

□SiriusBoeki
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SIRIUS.BOEKI@社員旅行【Shin】

「社員旅行?」
「はいっ!二泊三日で行ってきますね」
システム部のデスクで嬉々として答える●●に僅かな苛立ちを覚える。
「そういえばそんなことを言っていたな」
「本当はシンさんと一緒に行けると良いんですけど…私は総務所属なので日程が違うんですよね」
「そのわりには随分嬉しそうだな」
「だって有名な温泉ですよ!お肌つるつるになるそうですし!ご飯も楽しみなんです〜」
「それは良かったな」
強引に話を終わらせ、手元の仕事に戻る。
「で?いつからだ?」
「明日からです!」



バサッ
脱いだジャケットを掛けもせずそのままソファにもたれ掛かる。
何でよりによって今日は社内設備メンテナンスの日なんだ。
仕事を詰め込むことで気を紛らわそうと思ったが叶わず、しかもアイツがいないことで受付の女達がいつも以上にしつこく声をかけてくるのが鬱陶しくて、結局早々に家へと帰ってきてしまった。

この部屋はこんなに静かだったか…?
最近アイツがココに来ることが増えたせいかもしれない。
チッ…だから誰かを深い部分まで招き入れるのは苦手なんだ…。
淋しさというガラにもない感傷を抱えることになる。
久しぶりの静寂に慣れず、とりあえず音楽をかけると、ワインを開けて流し込む。

アイツは今日から二泊三日で社員旅行だ。
今までの社員旅行は一週間日程の海外で組まれ、いずれも自由参加型だった。
参加者が少ないために今年から日程を縮め国内に設定し課をシャッフルして『なるべく』参加するようにとの社命が出たらしい。
総務課は主催側になる為、参加義務が他の課よりも強い。

が。
そんなことはどうでもいい。

今回総務部のアイツが参加している旅行が、よりにもよって営業部と一緒だというのが一番納得いかない。
確か初回の参加部署は秘書課、営業部、総務部だったか…
リュウガ社長、ナギ、ハヤテ、トワ。
アイツにちょっかいをかけたがっている面々が揃っていた。
なんでよりによって営業部と一緒なんだ…

どんな手を使ってでも行かせないことも出来たが、温泉旅行を楽しみにしているアイツに対してそんな度量の狭い真似をするつもりはない。
たかが二泊の近場旅行だ。
俺に惚れているアイツがそんなことで誘惑されるとも思ってない。
念の為トワには睨みを利かせ、リュウガ社長の毒牙にかからないよう注意しておいた。
番犬くらいにはなるだろう。

ったく…何故こんなに落ち着かねえんだ。
「はぁ…」
溜息をつきソファに深く沈み込むと、ふと目の前にピンクの布が目に止まる。

何だ?

自分の部屋に似つかわしくない配色に、
手に取って拡げてみると――
「…アイツ…」

それは●●のパンツだった。
「何でこんなものがこんなところに…」
しばらく会えないからと昨夜アイツはここに来た。
確信犯なんだろうが、旅行の準備を持ってきていたから結局うちに泊まっていくことになり、今朝はここから嬉しそうに出発していった。

アイツ…まさか替えの下着を忘れていったのか?
ったく、ドンくさいにもほどがある。
レースがふんだんに使われ、透け感が色気も醸し出すデザインの可愛らしいショーツだ。

…どうして俺のいない社員旅行にこんな気合の入った下着がいる?
意味のない嫉妬心が沸き上がる。
と同時に、この薄い小さな布を纏う●●を思い浮かべる。
滑らかな肌が火照って湿り気を帯びる様子が脳裏にちらつき、昨夜の艶めかしい姿がくっきりと思い出されると、
「…!」
たかがパンツで反応しはじめた下半身に自分で驚く。

…ありえねえ。



そんな想いとは裏腹に、手は引き寄せられるように興奮を覚え始めた場所へと伸びる。
「っ…」
ベルトを外しチャックを下ろす。
下着をずり下げると、既に硬度を持ったそれは弾かれるように露出する。
昨夜ヤッたばかりだってのに盛りのついたガキでもあるまいし…
だがそこは充分すぎるほど勃起していた。

「●●…」
名を呼ぶだけで、さらに硬さは増す。
強く握りしめてからゆっくりと扱く。

考えてみればこんな行為は久しぶりだ。
自分では淡泊なほうだと思っていたが…アイツを抱いてから今までの分を取り戻すかのように次々と欲望が湧いてくる。

「はっ…あ…」
括れの部分を擦りあげるとひとりでに溜息と声が漏れた。
僅かに流したアルコールが身体に熱を加え、片手は反り立つモノを握りしめたままもう一方の手で汗ばみ始めたシャツの前を寛げる。

熱に浮かされたように火照りを覚え、昨夜の乱れた●●の肢体がチラつき始める。

『シン…さん』
いつものように俺の名を呼び、羞恥と期待が入り混じった表情で俺を見る。
まだぎこちない所もある身体だが、潤みきった窪みに焦らすように俺をあてがい擦りつければ●●はゾクゾクするほど色付いた声で啼くようになっていた。
『あぁっ…ぁ…や、ぁ…』
(ココを拡げて俺が欲しいと強請ってみろ)
『や。は、恥ずかしいっ…』
(欲しいんだろ?だらしない穴だな。待ちきれずにこんなにヒクついてヨダレを垂らしている。早く俺のをくわえたいのか?この間まで処女だったってのに随分イヤラシイ身体になったな)
『んんっ…』

厭らしくも可愛いその姿に堪らず深いキスを繰り返す。
(どんな姿もどんな欲望も…全部俺が見ていてやる。全部愛してやるから…好きに乱れていい)
囁くと糸が切れたように●●は最高に淫靡な顔になり、
『あ…ッし、シンさんっ、が欲しい…のっ。く、ください…お願い、全部…っ』
潤んだ場所を拡げてねだる姿は俺の心を激しく揺さぶる。
「ああ。すぐにくれてやる」

強く握り扱くと透明の液が先端に滲み、
それを馴染ませるように塗潰すとクチュクチュと厭らしい音が静かな部屋に響いた。
「…クッ…」
掴んだ指にぐっと力を入れると●●のナカに挿入した時のような圧を感じ、情けないことに直ぐにイキそうになる。

「ったく…好すぎだ」
深く犯せば俺を離すまいと吸い付くように取り込まれ、浅く抜けばスグに深く突っ込みたくなる。中毒になりそうなほど激しく挿入を繰り返す。
『シンさんっ…気持ちいい…?ああん、やっ…きちゃう…だめえっ』
甘い声が耳を刺激し興奮が昂る。

「あ、あ…俺も…いい…っ。●●…あッ…」
手で扱きながら、思わず女みたいに喘ぐ声が漏れた。
たまらなく射精感が強まる。
「はッ…●●っ……くっ」
もう一度名を呼ぶ。
強い快感と同時に勢いよく白濁した液がほとばしった。
「はぁ…」
ビュクビュクと下半身は脈うち心地よい脱力感に埋もれ、だらしなく快楽の余韻に浸る。


乱れた息を整えていると冷静さが戻ってきた…。
俺の手には白い液体で汚されたピンクの下着がぎゅっと握られていた。

…マズイ。
俺はなんてド変態なことやってるんだ…

ブルルルルッ
「!」
突然の着信にビクッと身体が震える。

………アイツだ。

「…何だ」
「あ!シンさん!まだ起きてました?」
「ああ…」
「あれ?何だか元気ないですね。もしかして私が居ないから寂しいとか!」
「…切るぞ」
「あっ待って下さい!えっとシンさんのお土産に何がいいか聞こうと思って!」
「何でもいい」
「何でもいいが一番困るんです!」
「お前の少ない脳味噌で俺が気に入りそうなものを必死で考えておけ」
…って、何で俺はこんな偉そうなことしか言えてないんだ。
…たかが忘れ物で欲情できるほど溺れてるってのに…こんな恥ずかしいこと絶対に気付かれたくはない。
アイツの痴態は全て知っておきたいが、俺の痴態は死んでも知られたくない。

「あ!それからね、シンさんの部屋に忘れ物してませんでしたか?」
「…っ」
途轍もない罪悪感が脳内を駆け巡り、胸を締め付ける。

「もしもーし?シンさん?聞こえてますか?旅行の帰りに取りに行きますね!すみません。うっかり忘れちゃって。…シンさん?遅くにかけちゃったから眠くて機嫌わるいんですか?怒らないで下さいよ。だって私がどうしてもシンさんの声をききた…」
『おい、●●。風呂行くぞ』
電話越しに信じがたい声が聞こえる。
…ナギ?
風呂?!
何でナギがアイツを風呂に誘う?
まさか混浴がある風呂…?!そんな話は聞いてないぞ…

「おい。その旅館の風呂は…」
「そうそう!すっごくツルツルになるんですよー!って行かなきゃ。あ、シンさん。じゃあまた明日もかけますね!おやすみなさい〜!」
「おい、待…」
ツーツーと通話を切られた音が静かな部屋に鳴り響く。

…おい、眠れねーじゃねえか…

ピンクの布をもう一度見つめる。
それを握りしめ、
「チッ…」
気怠い身体を引きずって、
俺はピンクの布を洗濯すべくシャワールームへ移動した。


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