Novel

□SiriusBoeki
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SIRIUS.BOEKI.@ベッド【Heroine】

ベッドにゆっくりと降ろされて、組み敷かれる。
「さて。もう充分に待ったんだからな。たっぷりと味あわせてもらわねーとな」
「あ、あじわうっ?!あのっ…実は、こ、心の準備がっ、ま、まだっ…」
「フン。そんな必要ねーだろ」

緩く絡みついていたシンさんのタイは完全に解かれて、シャツの隙間から滑らかに盛り上がった胸元が覗く。
身体中に心臓の音が鳴り響くみたいに、一気に鼓動が速くなる。
とっくに覚悟をしていたはずなのに、いざとなるとどうしていいかわからなくなるほど狼狽えてしまう。

「しっ、シンさん!質問があります!!」
「質問?」
シンさんは怪訝な顔で身体を少し起こした。
「それは今必要な質問なんだろうな?」
「はいっ!ぜひ今聞いておきたいです…」
「…チッ。何だ?」

「……私でいいんでしょうか?」
「…どういう意味だ?」

「だ、だからその…私で、し、シンさんを満足させられるのか…」
爆発しそうなくらい波打つ心臓をおさえながら、おそるおそる口にすると、

プッ

「へ?」
シンさんが、吹き出してから声をあげて笑う。
今の、わ、笑うトコ??
「クックックッ…ハハッ…ったく、お前は」
まだ肩を震わせて笑っている。

「ウブかと思えばイキナリ直球なおもしれーこと言い出すし…まったく。予想がつかないな」
「面白いことなんていってませんよ!真剣なんですっ!」
「明らかに今からイイトコロだって雰囲気で、こんなに笑わせてくれる女はお前くらいだ」
「笑わせてるつもりなんてないんですが…」


「満足するかなんて、そんなものシてみないとわからねーな」
「シンさん…ろ、露骨です…」

「馬鹿か。お前が言い出したんだろう?」
「だって私…グラマーでもセクシーでもないですし、ちんちくりんだし」
「そんなことは初めからわかっている」
「あのぅ…そこは、ちょっとは『そんなことないよ』とか『俺から見ればグラマーだよ』とか優しく言ってくれても…い、いえっ、ゼイタク言っちゃいました!それに…し、し…」
「処女か?」
「わーっ!!なんでそんなハッキリ言うんですか!」
「今更恥ずかしがるな。大体想像はついていた」
「想像しないでくださいっ」
「馬鹿か。俺がお前に対してしてる想像なんて結構そーゆー事ばかりだ」
「そーゆー事って…」
「殆どやらしい目で見てるってことだ」
「ええっ…だって色気ないっていつも…。それにあの…やっぱりガキっぽくてめんどくさいとか思いました…?」
気になっていたことを言ってしまうと、シンさんは呆れたように大きくため息をついた。

「訊きたいことはそれだけか?なら、応えてやる」
グイッとシンさんが顔を近づけてから、優しい瞳で囁く。

「これ以上待たせる気か?お前で満足か、じゃなくてお前でないと満足しそうにねーんだよ」
真剣な声音に、胸の奥がキュッと締め付けられる。

…どうしよう。
シンさんが、ものすごく好きだ。
好きが大きくなりすぎて消化できなくて、
苦しいくらいに――

見つめ合っていると、身体中が熱くなる。
お腹の下がキュンッとなって、じんわり湿っていくのが自分でもわかる。
また、からかわれちゃう…!

私は恥ずかしさのあまり、往生際悪く覚悟の時を引き延ばそうと試みる。
「あ、汗かいちゃいましたし!ここらで一息…あのっ、シャワーでも浴びて…っていうか浴びたいですっ!」

「……」
シンさんが無言のまま、覆いかぶさった身体を解放してくれた。
ほっとしてベッドから起き上がり、バスルームに向かおうとすると、

グイッ

後ろから腕を掴まれて、床に敷かれた柔らかな絨毯の上に再び押し倒される。

「…やっぱり、無理だな」
「えっ…」
「オアズケは、されるよりさせるタチなんでな」

手首を強く掴まれたまま、大人のキスが容赦なく降りしきる。
唇を軽く噛んで、舌をねじ込んで、全て奪われるような激しいキス。
ワインの香りとシンさんのお香の香りが混じって柔らかく蒸発すると、その甘さに蕩かされクラクラしてしまう。

キングサイズのベッドが視界の端に見えるけれど、そこへ戻る間すら惜しいような情熱で。
キスをされながらボタンが外されて、シンさんの指が私のシャツのなかに入り込む。


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