Novel

□本編 Shinside
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27.仕置

すぐに歓楽街に向かい、ベガに入るが、それらしき女はいない。

「気に入った女がいればチップをはずむ。一番多く支払った客が一晩買う権利を与えられるってワケだ。普通の酒場と違って味見ができるのが良いトコロだな!」

船長が嬉しそうにハヤテに説明する。

コイツはこういうのに疎いから、社会勉強だということで船長が無理やり中に連れ込んだ。

鼻血ふかねーといいが。

トワとナギは外で見張り待機。

ドクターは交渉役ということで黒服の連中に出場する女の情報を訪ねている。


「今夜のショーはかなり盛り上がって半分以上終わってるらしいから、彼女たちが出てくる可能性は低そうだけど…」

席に戻ってきたドクターが言うと、

「やっぱあいつら、ストリッパーじゃ使い物にならねーって出してもらえてねーんじゃねえの」

ハヤテが笑う。

「シン。最後まで俺は見ていくから、もしちんちくりんの女が出てきたら金貨をたんまり叩いておくぞ」

船長の提案に俺は外を探すことにした。

船長がショーに夢中にならなければ良いが、ドクターもいるから大丈夫だろう。

「俺も外に行く。ココはやっぱ居心地わりーから」

ハヤテが後をついてくる。

俺達は手分けして周辺を探すことになった。








路地裏にさしかかると、男らの怒鳴り声が聞こえた。

「おい女。よくも逃げたな!罰金を払わされたじゃないか」

男二人が女を追っているようだった。




視線の先にいたのは…

薄いわずかな布を纏った●●だった。


アイツ!

またあんな格好させられやがって…




ズキューン。

俺の銃声が響く。

男二人はその場に倒れた。



何が起こったかわからず放心する●●が、その場にへたり込んだ後、俺の名を呼ぶ。

「シンさん…っ」

「こっちに来い」

よろけながらもこちらへ歩いてきた●●の身体を右手で銃を構えたまま支える。


銃声を聞き、近寄ってきたハヤテがすかさずロープで男達を捕まえた。

「相変わらずシンの銃は百発百中だな」


「シンさん…この人達を殺したの?」

「そんな顔をするな。頭をかすめただけだ。」

本当は、俺の女をさらった罪で脳味噌をぶち抜いて二度と動けないようにしてやってもいいくらいだが。

ほっとした様子の彼女を見つめる。

改めて近くで見ると、随分刺激的な格好だ。
想像より幾分マシなその肉体は、男達の視線を受けるのに充分だった。

ったく、ぼおっとしやがって…。


「着ろよ」
ジャケットを脱いで手渡す。

「助けてくれて…あ、ありがとうございま…」
「いいからさっさと着ろ」
「はい…っ。て、手が…」
怖い思いをしたのか、手が震えて上手く着れないようだ。

「貸せ」
さっと●●の肩にかけてから、俺は二人の男に近づいた。

「お前、こいつをストリップ小屋に売ったのか」
「なっ、なんとか命だけはっ!!」
無視して銃口を額に当てる。

「殺してもらいたいようだな」
「め、めっそうもない!!!」
「お前の意見なんか聞いてねーんだよ。まずは両足を撃って動けなくする。それから手だ。綺麗に穴をあけてやる。その次はどこがいいか…」
俺の言葉と突きつけられた銃口に、一人は気絶し、もう一人は漏らしてズボンを湿らせた。


「シン。脅すのはそのくらいにしておきなさい」
後ろからドクターが声をかけてきた。

チッ。
単なる脅しじゃない。
手足が使えなくなるくらいにはしてやってもいいんじゃねーかと思う。

「お前達。うちの大事な団員に二度と手を出すんじゃねえぞ」
船長が颯爽と現れた。
ストリップショーを見てたんじゃねーのか。

「ったく、ソウシのヤツ、いいとこで連れ出すんだもんな。」
船長がぶつぶつと文句を言った。
「楽しむのは彼女たちの無事を確認してからですからね」

「二度とあくどい商売はいたしません!」
かろうじて意識を保っていたチビッた方は、絞り出すように叫んだ。


「おい。そーいやお前ら、もう一人の太ってる女は?」

ハヤテが聞き終えるのを待つまでも無く…

「アタイは太ってるんじゃなくてグラマーなんだよーーーっ!!」

ファジーが叫びながら馬に乗って現れた。

「おまっ。その馬…」
「アタイのダンスで稼いだお金で買ったのさ。客の部屋に入った途端、股を蹴って逃げてやったよ!」

プッ。

こいつはやっぱり…
心配するまでもねーな。

さすが女海賊ファジーだ。
たくましすぎる。




ふと見ると、俺のジャケットを着た●●は、ファジーの無事に喜んで瞳を潤ませていた。

「●●!無事だったんだね!」
「はい!有難うございました!!ファジーさんのおかげで助かったんです。ファジーさんってほんと凄いや」
「アタイの指導は役に立ったかい?」
「はい。途中でロイ船長に出会ってしまって」

ロイ?
またあの変態か。

「あ!でもファジーさんに教えてもらった通りにして逃げました!ちょっと可哀想でしたけど」
「そーかい!」
ファジーは満足げに笑った。

「指導って何だよ?」
ハヤテが訊ねる。

「そりゃあ秘密さ。女だけのね」
「はい!言えません」
ファジーと●●が笑い合う。
「んだよ、そりゃあ」


「●●」
その手を掴み、引き寄せる。

「あっ、はい。シンさん、なんです…きゃっ!」
返事をする間もなく問答無用で抱き上げ、肩に担ぎあげた。


本当に、忙しい女だ。

俺を災難に引き合わせたり、
感動させたり、心配させたり、怒らせたり…
惚れさせたり。


「お前は何度さらわれたら気が済むんだ」
「ご、ごめんなさい〜…」
肩の上の彼女は、小さな声で詫びる。

「あ、あのっ…みんなが…見て…」
周りを見ると、シリウスのメンバーが俺と●●を見ていたようだが、俺が睨むと目を逸らす。


「気にするな」
そのまま馬まで担いでいき、馬上に乗せる。

本当に…心配させやがって。

「船に帰って、お仕置きだ」
ようやく手にいれたと思った途端、さらわれる。
とっとと本気で俺のモノにしたほうがいいようだ。

「今夜こそ、本気で容赦しないからな」


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