Novel
□本編 Shinside
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41.真珠
「諸君。道案内ご苦労様」
ロイがキザったらしいポーズをとる。
「こんなタイミングで出てくるとはね」
ドクターがトワを掴みながら言う。
「先生。腕が震えてるな。オレが代わってやりたいところだが、生憎ヤローとお手てを繋ぐのはシュミじゃないんでね」
「ならファジーを助けてやったらどうだ?君の仲間だった女性だろう」
ドクターが再びロイに問いかけるが、ロイはニヤニヤと笑う。
「ロイ様の腕が折れちまうだろう。そんな力仕事はリュウガの方が向いている。オレは頭脳派なんだから」
「俺たちをつけてきたのか」
船長がファジーを支えながら、半分呆れた顔でロイを睨む。
「ま、そーゆーこと。楽して宝!がモットーだからな!やあ。ひとつぶの真珠ちゃん」
ロイの視線が●●で止まった。
「ポポ島で会って以来だな。おかげ様でしばらく目が開かなかったぞ」
「全くひどい女ですよ!ロイ様の目にタバスコをかけるなんて!」
「ロイ様はすっかりピザがお嫌いになったんですよね!」
ロイの後ろから、リカーのトムとコリンが口をはさむ。
襲われそうになり、ロイの目にタバスコをかけて逃れた、とは●●から聞いていた。
人の女に手を出そうとした当然の報いだ。
「じゃあ今度からお前に会う時はタバスコを用意しないとな」
俺が口を出すと、
「フン。確かにタバスコを見ると、真珠ちゃんにかけられた時を思い出して今でもゾクッとするが・・・」
「それ、反応がおかしくねーか?何でちょっと嬉しそうなんだよ」
俺の両手の下で、ハヤテがつっこむ。
「タバスコもピザも嫌になったが、仕方あるまい。この俺が真珠ちゃんに首ったけなんだから」
そう言いながらロイが彼女を引き寄せて首元に剣を突きつけた。
「他の諸君は美しい友情のもと、さっさと仲間を助けるんだな。その隙に真珠ちゃんはいただこう」
「はなしてくださいっ!!」
「そうそう、ついでにこのネックレスもな。トム、コリン。あとの始末は任せた。よし、いい子だ。後でたっぷり可愛がってやるからな」
「お断りします!!」
「ヒヒ。やっぱりおてんば娘なんだねぇ〜。さぁこっちに来い」
クソッ。
目の前で、自分の女が他の男に連れ去られようとしているのに――
両手が塞がり、身動きがとれない。
そしてこの場にいるシリウスの誰もが、身体を動かすことが出来ずにいた。
「必ず助ける」
ドアの向こうへ消えていく●●に、俺は叫んだ。
彼女は小さく頷いたが・・・・
ロイに引っ張られ、壁の向こうに見えなくなった。