WTの夢

□二宮隊と香水
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「奈月さんっ!」
『おー犬飼…っておま、今何かけた?』
「こんにちは橘さん。」
『辻〜、犬飼に何かかけられたんだけど。』

本部の廊下、背後からの呼び掛けに振り向いた奈月は首元にほんのり冷たさを感じた。

「犬飼先輩…この匂い、まさか…、」
『…ん?意外といい匂い?』
「姉ちゃんに貰った〜。」

犬飼が見せた香水に辻が顔をしかめる。

「めっちゃ甘い匂いでしょ?奈月さん甘いもの好きだからいいと思って。」
『うん、何か幸せだわ。』
「マジでか、うける。」

くんくんと自分に鼻を寄せる奈月に犬飼が嬉しそうに笑う。
対して辻は急に居心地悪そうに顔を俯かせた。

『ん?どうした辻?』
「ぁ…、いえ、」
「匂いにやられたか〜?」
『あ、ごめん。気分悪くなった?』
「違っ、くて…その…、」

顔が真っ赤になる辻を見た犬飼がニヤリと口角を上げた。

「わかった!辻ちゃん奈月さんのこと意識しちゃったんでしょ?」
「!」

図星をつかれたように更に顔を染め上げる辻。

『ん〜?どーいうこと?』
「あのですねー奈月さん、辻ちゃんが香水の匂いにやられたんです。」
『やられた?』
「奈月さんを女性と同じに感じちゃったってことです。」
『…あー、辻は女性が苦手なんだっけ?ごめんなぁ、不可抗力とはいえ甘ったるい匂いさせちゃって。』
「違うよ奈月さん!逆!そういうことじゃなくて、」
「ちょ、もう犬飼先輩黙ってください!」
「えぇっ、もう奈月さん鈍すぎっ。」

焦る辻と首を傾げる奈月。
犬飼はつまらなそうに口を尖らせた。

「すみません橘さん。犬飼先輩の言ったことは気にしないでください。」
『んー、でもさぁ、ってことはオレって辻に嫌われたってこと?それはちょっと、いやかなり寂しいかなー。』
「な、なんでそういうことになるんですか…!」
『いやだって、オレのこと苦手な女性と同じように思ったってことでしょ?』
「そんな…違いますよ、それは香水が…!」
『ん。』
「…え?」
『違うって言うなら、できるよね?』

真顔で両手を広げる奈月に、辻はフリーズし犬飼は目を輝かせた。

「わほーい!奈月さんの腕の中ゲット〜!」
『犬飼は呼んでないけど。』
「そう言わずに!オレ奈月さん大好きですよ!」
『…じゃあいいか。で、辻は…?やっぱりオレ嫌われた?』
「っ…、橘さん、たち悪いです…。」

顔を真っ赤にしておずおずと近寄った辻が、奈月の腕にゆっくり収まった。

「…甘…。」

男三人が抱き合っているおかしな光景が出来上がった。





END.
(…お前ら何してる…。)(あ、二宮さん。どうです?二宮さんも。)(断る。)

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