WTの夢

□米屋と模擬戦
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『はい誰からやるのかな〜。』
「「はい!」」
『声デカイわ。はよどっちか決めろ〜。』

奈月の気の抜けた言葉に拳を握る二人。

「悪いな弾バカ。奈月さんの初めてはオレが貰う。」
「調子乗んなよ槍バカ。師匠の一番はオレだ。」
「お前に奈月さんの一番は相応しくない。」
「それはこっちのセリフだ。槍バカに師匠の初めてをやるわけねーだろ。」
『オイお前ら。たかがジャンケンで不穏な流れにすんな?』
「奈月さん怖いっ!」
「師匠目が笑ってない!」

爽やか過ぎるほどの笑顔を見せる奈月に、焦って順番を決める。
結果、米屋がグー、出水がチョキ。

「んじゃ弾バカお先に。」
「師匠!次絶対オレだからな!」
『疲れなかったらな。』
「それナシ!」

出水を観覧席に置いてブースに入る奈月と米屋。

『決定権は米屋にやるよ。トリガー制限は?』
「制限なしハンデなしで。」
『お?いいのか負けるぞ?』
「っ、その余裕!崩したい!」
『やってみろ?』

好戦的な二人がニヤリと笑って、転送された。
ステージは市街地B。

『射線通りにくいけどオレに射線は関係ないし、米屋もそれはわかってんだろうな〜。』

ハンデなしの言葉通りに遠慮なくメガネを外した奈月は、サイドエフェクトで建物を透視する。

『お、米屋クンみーっけ。』

地上でアイビスを構えた奈月の目線は米屋と同じだ。
もはやスナイパーと呼んでいいのかわからない。

『さぁて、これで終わるかな?』

引き金が引かれたアイビスは、銃口から物凄い勢いでアステロイドを吐き出した。

『うわ、けむっ。』

盛大に破壊された建物の煙が充満する。

『こりゃ米屋もぶっ飛んだか?』
「…と、思うじゃん?」
『うおっ!』

煙の中、奈月の背後から攻撃をしかけた米屋だが。

「うわ!完全に背後取ったのに避けるとか!奈月さんもうホント何なんすか!」
『お前こそオレのアイビス砲避けといて何言ってんだ。』
「くるって思ってましたから。」
『だよな〜。』

戦闘好きはこういう時の頭のキレがいい。

『これが勉強にも活かせればいいんだけど。』
「ちょ、何の話っすか!」

文句を言いつつも槍を変形させて攻撃を仕掛ける米屋。
それをスイスイ避ける奈月は、アイビスからスコーピオンにトリガーを変更している。

「その手には乗らねぇっすよ!」

スコーピオンで距離を詰めてくる奈月に、米屋はシールドを張って防ぐ態勢をとる。が。

『と、思うじゃん?』
「なっ…!」

ニヤリと笑った奈月はスコーピオンを消してアステロイドを出す。

『レッドバレット螺旋丸!』
「!!?」
『…みたいな?』

シールドをすり抜けたレッドバレットは、米屋の胸に押し込められ肥大して動きを奪った。

「ぐっ!奈月、さん…!お、重っ!滅茶苦茶重いっす…!」
『いやはや滑稽だねぇ米屋クン。』
「一体何キロあるんすかコレ!?」
『キミんちの隊長のを100キロだとするとその倍はある。』
「うえ!マジで!」

どうあがいても身動きが取れない米屋は諦めて力を抜いた。

「もう奈月さん強すぎ…。」
『諦め早えーな。』
「いや諦めてないっすよ。もっかいやりましょ。」
『寝言は寝て言え。』

ズドン。
超至近距離でアイビスを撃った奈月。
米屋は気付いたらベットにいたと言う。





END.
(し、師匠!)(…キラキラした目で見んな出水クンよ。)

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