WTの夢

□唯我と金持ち
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「橘さん!またボクをベイルアウトさせましたね!?今日と言う今日は断固許しません!」

任務から無事に戻った三人は、喚く唯我をサラッと通り過ぎて国近と内容を振り返る。

「お疲れ様〜。今日も絶好調だったね〜。」
「おう。問題なし。」
「橘さん!」
『報告書は?』
「出水よろしく。」
「何で無視するんですか橘さん!」
「ええ!またオレっすか!?」
「『後輩の宿命だ。」』
「オレ本当に太刀川隊でいいのか…?」
「ちょっと聞いてますか橘さん!」
「「『うるせえよ。」」』

ギャンギャン騒ぐ唯我に三人が冷たく言い放った。

「ひ、酷い。酷すぎる…!」

ズーンと落ち込んだ唯我だが面倒にも立ち直りが早い。

「だ、大体何でいつもいつもボクを撃つんですか!?はっ!わかった!A級一位の隊にいながら実は下手なんでしょう!?狙いが定まらないからボクを撃ってしまうんでしょう!?」

一人納得してふんぞり返る唯我に反論したのは奈月ではない。

「唯我お前調子乗んな?」
「お前が師匠をバカにすんじゃねぇよ。」
「奈月さんは唯我と違ってちゃんと強いよ〜。」

唯我の味方はいない。

「なっ!ぼ、ボクはスポンサーの息子ですよ!?ボクの家程の大企業は滅多にないんだ!あるとすれば県外にある大事業家の…、…!?」

金持ちの持論を繰り広げていた唯我が、ハタと我に返り奈月を見る。

「橘、さん……橘さん…橘さん!?っ橘さんって、も、もしかして…橘財…ブフォ!?」
『それ以上言ったら今度は生身を一片残らずブッ飛ばす。』
「すびばべん!」

唯我の頬を鷲掴んだ奈月が、その耳元でドスの効いた声を静かに発した。

「どうした?橘、橘って。」
『何でもないっす。唯我がバカになっただけ。』
「なに言ってんすか師匠。唯我は元からです。」
『ああ、そっか。』
「奈月さん忘れちゃ可哀相ですよ〜。」

相変わらず態度を変えない三人だったが、唯我の口からは文句の一つも出なかった。





END.
(橘さんがあの橘財閥の人だったなんて…!)(唯我の口止めオッケー。他の人は気付かんだろ。)

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