WTの夢

□変態っぽい人と大人の話
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「奈月さんのサイドエフェクトって透視なんすよね?」

自販機の前のベンチで休憩していた奈月に、当真が話し掛ける。

『そうだけど…なに急に。』
「いやぁ、改めて思うと羨ましいなぁと思って。」
「お、それ分かる!」

割り込んできたのは諏訪と太刀川。
その後ろからは苦笑した迅も。

『羨ましいって…。いい事と言えば射線関係なく吹っ飛ばせるってことくらいだけど。』
「それサイドエフェクトなくてもやるでしょ。」

首を傾げる奈月に迅が呆れたように言う。

「いや、そうじゃなくてっすね。透視って言えば一つしかないでしょ。」

当真が人差し指を立てる。

「服を透視させる。」
『…服?そんなん透視してどうすんだよ。』
「それ本気で言ってんすか奈月さん!?リアルエロ本っすよ!?男の夢でしょ!?」

当真の言葉に諏訪と太刀川が頷いた。

「さすが当真、分かってんな。」
「将来が楽しみだぜ。」
『いやそれ不安しかないけど。』
「あ、当真が犯罪で捕まる未来が視えた。」
「え!そりゃないわ!」

語っていた当真が一歩退いたところで、選手交代とばかりに太刀川が口を開いた。

「で?実際どうなんだ?お前も男なら下着や裸体の一つや二つ見たことあんだろ?」
『ええ…、そんなこと言われてもなぁ…。あ。』
「え!見たことあるの?」

驚く迅をよそに太刀川や諏訪は身を乗り出す。

「やっぱ見てんじゃねーか!」
「で?誰の見たんだよ?」
『…そんなに聞きたいの?』
「あ!いや待て!せっかくだから少しずつ聞いていって想像しよう。」
「変態だな太刀川。でもそんなお前もいいぜ。」
「そうだなぁ、じゃあまずいつどこで見たんだ?」

成人二人の迫力に渋々と言ったように口を開く奈月。

『いつ…かは忘れたけど、隊室で。』
「隊室?太刀川隊?」
『じゃない。』
「他所でか。他の奴はいたのか?」
『いなかった。』
「つーことは二人っきりでか!お前もなかなか変態だな!」
『ちょっと。大きい声で変態とか言わないで。』

テンションが上がる諏訪に白い目で抗議する。

「で、何を見たんだ?」
『…下着。』
「下着!」
『見えちゃったんだよ…。』
「ラッキースケベか!」
『だから声抑えて諏訪さん!』
「下着かぁ、いいよな下着も。」
『……。』
「で、何色だった?」
『…赤。』
「「「赤!」」」

成人と当真の声が見事に重なった。

「赤!いいね赤!」
「一気に大人の香りすね!」
「勝負日だったのかもな!」
『あ、違うって言ってたけど…。』
「おまっ、聞いたのか!?」
『え、はい。』
「「「勇者!!」」」

三人が握手を求める。

『でもあんまり触れて欲しくないみたいでしたよ。』
「そりゃそーだろ!バカかお前!」
「あ、そうそう。うちの子結構バカなんですよ。」
『太刀川さんに言われたくないです。』

奈月の頭をわしゃわしゃする太刀川と、そんな太刀川にパンチする奈月。

「はいはい太刀川隊が仲いいのは知ってっから。本題に入ろうか。」
「お!待ってました!」

諏訪の言葉に目を輝かせる当真。
ゴクリと喉を鳴らす三人に、奈月は当時を思い出すように半目になった。

「ズバリ、赤い下着の正体は…!?」
『………冬島さん。』

フリーズ。
赤い下着の女性が崩れ落ちた。

「ブッ!」
『笑うな迅。オレだって見たくて見たわけじゃないんだぞ。』
「いやいや、安心したんだよ。やっぱり奈月は奈月だった。」
『はぁ?』

クスクスと笑う迅に訝しげに眉間を寄せた奈月は、次いでフリーズしたままの三人に視線を向けた。

『つーかいつまで固まってんのそこ。』
「、奈月!お前騙したな!」
『誰も女子だなんて言ってないよ。』
「残念だったね〜三人共。」
「そう言うお前はどうなんだよ迅!お前だって期待してたくせに!」
「そうだそうだ!いつもセクハラばっかしてんじゃねーか!」
「オレは妄想じゃなくて実物にしか興味ないの。」
『おい、何でオレのケツを揉む。』

ギャンギャン文句を言う成人にマイペースな迅。
飛び交う言葉は低レベルだ。
そんな中、ふと当真が口を開いた。

「なんなら今からメガネ外して見てもらいません?」

文句がピタリと止まる。

「っ当真!お前射撃だけじゃなくてエロスの方も天才だな!」
「あざーっす。」
「よーし奈月、メガネとれ。」
『ええ、目ぇ疲れるからヤダよ。』
「男だろ!?一緒に夢見よーぜ!?」
『あ、ちょっ、』

諏訪にメガネを取られた奈月。
その後ろにはちょうど通り掛かったオペレーターの女子が。

『、あ。』
「見えたか!?」
『え、言っちゃっていんすか?』
「もったいぶるな!早よ言え!」
『じゃあ…言いますけど。』

今度こそと目を血走しらせる三人。
未来が視えた男は肩を震わせる。

『諏訪さん肺真っ黒。』
「「「人間ドックか!」」」





END.
(サイドエフェクトも持つ人を選ぶってことだね。)(何か言った?迅。)

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