WTの夢

□2バカと勉強
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「しーしょー!勉強教えてー!」
『やだ、めんどい。』
「…ほんと師匠って一回でオッケーしてくれないよなぁ。」

隊室のソファに寝そべってぐだぐだゲームをしていた奈月に、出水が教科書を持って詰め寄った。

「今度テストあんだよー。」
『知るか。ってかお前勉強出来んじゃん。』
「いや、出来る方ってだけで分かんないとこは色々ある。」
『学校の先生に聞きなさい。』
「ボーダー隊員はそんな暇ねーの。知ってるだろ?」
『あ、ちょっと今いいとこ!』

ゲームから全く目を離さない奈月に出水はため息を吐く。

「あーあ、せっかく街で有名なケーキ買ってきたのに。」
『それを早く言えよ。』
「切り替え早っ!」

スッと起き上がった奈月はゲームをセーブしてから、メガネをクイと上げた。

『て、あれ、米屋?』
「気付くの遅っ!」

やっと視線を出水に向けた奈月は、そこで初めて出水の隣の存在に気付いた。

『お前存在感薄いな〜。』
「いやさっきから突っ込みいれてたのオレっす。」
『マジかー、ご苦労さん。』
「…おい弾バカ。ほんとに奈月さん頭いいんだろうな?」
「ああ、バカだけど頭はいい。」
『聞こえてんぞお前ら。』

出水に渡されたケーキを頬張りながら言う奈月はちっとも年上の威厳を感じない。

『ほれ、何からやるんだ?』
「オレは英語。」
「オレはー…、」
『ちょい待て米屋。まさかその量全部分かんないとこか?』
「え、そっすけど。」

さも当然かのように首を傾げた米屋に、奈月は出水を見た。

「…学年下から数えた方が早い。」
『マジか…。』

出水の言葉に衝撃を受けた奈月は頭を押さえ米屋に尋ねる。

『テストいつ?』
「…明明後日。」
『…何でそんなギリギリで持って来たよ。』
「いや…早くやっても忘れるから…。」
『…はぁ、太刀川さんと同レベルのバカだ…。』
「マジで。」
『米屋、お前それ全部覚えんな。』
「え?」
『出そうなとこだけ見てやる。要点絞って勉強しないと何も身に付かんぞ。』
「おお!先生っぽい!」

感動する米屋とは反対に出水はげんなりする。

「ちょっと師匠、変に気合い入れないで。」
『よし米屋、まずはここからここまでの公式全部覚えろ。』
「了解、ってえええ!?」
「あー…スイッチ入った。」
「ちょ、奈月さん!要点絞るんじゃなかったんすか!?」
『絞った結果がそれだ。つべこべ言わずさっさとやれ。オレが教えるんだから赤点なんて取らせんぞ。』
「ひ〜!スパルタ!」





END.
(お前ら全教科80点越えは当たり前だからな。)(ちょ、何でオレまで!)

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