WTの夢

□風間隊と昼飯
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お昼のカツカレーを持って席を探していた奈月は、同じくカツカレーを持った人とバッタリ鉢合わせた。

『風間さん。』
「橘か。久しいな。」
『ですねー。最近会わなかったすもんね。』
「太刀川にはよく会うんだが…。」
『それはうちのタイチョーが泣きついてるからでしょうね。』

レポートを手伝ってくれと頼む太刀川と、それをあしらう風間が目に浮かぶ。

「橘はどこで食べるんだ?」
『えーと、探し中です。』
「よかったら一緒に食べないか。あいつらも一緒だが。」
『いいんですか?ならお言葉に甘えて。』

付いて行った席には風間隊の菊地原と歌川がいた。

「うわ、何で橘さんがいるんですか。」
『やあ菊地原くん。ご一緒させてもらうよ。』
「誰もいいなんて言ってないですけど。」
『君らの隊長様の許可を得ているのだよ。』
「全員の許可を取るのが常識でしょ。」
『菊地原くんはオレとご飯食べるの嫌?』
「別にそんなこと言ってないし。」
『じゃあ一緒に食べてもいいかな?』
「好きにすれば。」
『ありがとう。』

ハラハラ見ていた歌川にグッと親指を立てる奈月。

「いつ見ても橘は菊地原の扱いが上手いな。」
「いつもいつも菊地原が失礼な態度を取ってすみません!後でちゃんと言っておきますので!」
『いーっていーって。攻略の難しいダンジョンをクリアした時の快感に似てるし。』
「このゲーマーが。」
『何が悪い。』

ボソッと言う菊地原に胸を張って返した。

「それにしても、橘さんもカツカレー好きなんですか?」

風間と並んで同じ物を食べる奈月に歌川が尋ねる。

『風間さんほどじゃないけどフツーに好きだよ。』
「甘い物が好きと聞いていたので意外でした。」
『辛い物を食べた後のスイーツ、最高だよね。』
「そうなのか?」
『そうなんですよ風間さん!あープリン食べたくなってきた。』

一足先に食べ終えたカツカレー。
奈月の胃はすでに別腹モードに入った。

『あーでもな、もうすぐミーティングする時間だし…。』
「太刀川隊はこれから任務か?」
『そーなんですよ。いやしかしプリン…。』
「プリンなんていつでも食べれるでしょ。」
『甘いよ菊地原くん。食後のプリンほど美味しいものはない。』
「買って戻ったらダメなんですか?」
『!そうだ、ナイスだよ歌川くん!風間隊と食べることしか考えてなかった!風間さん。オレ、プリン買って戻ります。で、隊室で食べます。』
「ああ。任務頑張れよ。」
『はい!では風間隊の皆さんはごゆっくり。』

ひらひらと手を振り食堂のカウンターを目指す奈月。
“濃厚卵のとろとろプリン”の字を確認して財布を取り出す。が。

『……………100円足んない、とか…。』

いくら探しても足りなかった。
すっかりプリンモードだった奈月はショックを隠しきれず表情を暗くする。

「…橘さん。」
『、どした菊地原くん。』

後ろから声を掛けられどんよりしたまま振り返る。
そこにいた菊地原はついさっき別れたばかりだったが。

「、ん。」
『んん?』

差し出されたのはプリン。

『え、なに?プリ、』
「あげます。」
『…………え!?』
「言っとくけど間違えて買っちゃっただけですから!橘さん甘いの好きって言ってたし丁度いいからあげようと思っただけですから!」
『マジかー!オレ今100円足りなくて困ってたんだよ。ありがと菊地原くん!』
「べ、別に…。」
『今度お礼したいからまた一緒に飯食べよ。』
「、どうしてもって言うなら食べてあげなくもない、です。」

そう言ってそっぽを向いた菊地原は首まで真っ赤だった。





END.
(サイドエフェクトで聞こえたんかな。)(間違えたなんて嘘この人は絶対気付いてる…。)

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