WTの夢

□太刀川隊とタコパ
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『っ、何だこのコロコロ…!』

太刀川隊の作戦室に入った奈月は、次の瞬間感嘆の声を上げた。

「遅いぞ奈月ー。」
「奈月さん、こんにちは〜。」
「なんだよ師匠、たこ焼き知らねぇの?」

机の上でジュウジュウ美味しそうな音を立てているのはたこ焼き器だ。

『たこ焼きくらい知ってるわ!いや、だが自分で作れる機械があったのは知らなかった…。』
「柚宇さんが家にあったの持ってきたんだって。」
「せっかくだからタコパしたいな〜って言ったら太刀川さんがオッケーしてくれて〜。」
「オレに感謝しろ〜?」
『タコパ…?』
「たこ焼きパーティーの略だよ。師匠もうちょっと世間に興味持った方がいいぜ?」
『うるせー、と言いたいところだが、これは知っておくべきだった!』

出水の手によってクルクル回されるたこ焼きを、奈月は珍しく目を輝かせて見つめる。

「…師匠もやる?」
『!いいのか!?あ、でも資格とかないけど…、』
「何の資格だよ!」
『10年修業してないけど…、』
「寿司のスキル求めてねーから!」
「奈月って意外とバカだよなぁ。」

奈月がかますボケに太刀川がしみじみと頷いた。

『よ、よし。これでクルッとすればいいんだな?』

ピックを持つ奈月の手は心なしか震えている。

『っ、うおっ!?』
「ア"ッツ!!?」
「師匠ヘッタクソだな〜。」
『っ仕方ないだろ!初めてなんだから!』
「まずオレにごめんなさいは!?」

奈月が回したたこ焼きは見事に宙を浮き、太刀川の顔面へと吸い込まれていった。

『え、あ、太刀川さん、何かイケメンになりました?』
「お?マジか。」
『はい。イケメンですものすごく。頬に付いた油がいい具合に輝きを助長していて、』
「ちょっと師匠焦げてる!」
『えっ!太刀川さんに構ってる場合じゃなかった!』
「おい。」

急いで紙皿に取り出したたこ焼きは、歪な形ながらも上手に焼けている。

『…ヤバイ、食べるのが惜しい。』
「いいから早く食えよ。」
『、いただきます…!』

ゆっくり運ばれたたこ焼きは、奈月の口内でホクホクと湯気を立て消えていく。

『っ…うまっ!!』
「良かったね〜奈月さん。」
「師匠、材料まだあるけどや、」
『やるっ!!』
「お、おう。」





END.
(え、これ中に餅入ってる!)(中身を代えるやり方もあるんだよ〜。)(ふっふっふ、それはオレが考案した、たこ焼きならぬ餅焼きだぁ!)(ネーミングセンスゼロか。)

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