WTの夢

□出水とお見舞い
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のろのろと開けた玄関の先に出水がいた。

「師匠調子どう?」

手にメロンを持っていることからお見舞いにきたことが分かる。

『おー、だいぶよくなった。けどお前お見舞いにメロンって典型的だなぁ。』
「いや、オレもどうかと思ったんだけど柚宇さんが。ちなみに太刀川さんは餅持ってけって言ってた。」
『メロンありがとう。』

受け取ったメロンは、奈月の手をすり抜け重力に従って鈍い音を立てた。

「うおっ!?師匠!メロン落とすとか危なすぎ!」
『おー…わりぃ…。』
「!師匠!?」

奈月の体がふらりと揺れて、出水に倒れ込む。

『…あー…ごめん…力入んない…。』
「アッツ!師匠これ何度あんの!?」
『さっきは、38度…6分…。』
「全然よくなってねーじゃん!」

抱えられてベッドに寝かされた奈月。

「飯は?薬は?何かいる?」
『だいじょーぶ…寝てれば治る。それより、』
「なに?」
『任務はどうなってる…?』

自分の体より任務を気にする奈月に、出水は大きくため息を吐く。

「オレと太刀川さんで変更なくやってるよ。つーかまずは自分の心配しろよな。」
『ごめん…。治ったら、何か奢る。』
「じゃあさっさと治せバカ師匠。」

頬をつまむ出水の手に自身の手を重ねる。

『出水の手、冷たくてキモチい…。』

吐き出す息は熱っぽい。

「っ、師匠が熱いだけだろ。」
『だな…。ちょっとこのまま…。』

目を閉じて出水の体温を感じる奈月は、しばらくして静かに寝息をたて始める。

「…あんまり無茶すんなよな。」

あてがった手で頬をむにむに弄ると、奈月の口が僅かに動いた。

『…ん、公平…、』
「!」





END.
(それ反則だろっ!)

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