WTの夢
□太刀川さんと酔っ払い
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「太刀川のデリバリーでーす。」
『頼んでません。』
深夜。
常識外れのピンポンが響いて、のそのそと玄関に出た奈月を迎えたのは、太刀川に肩を貸した隣人だった。
『ソレ、相当酔ってますよね?』
「ああ、潰れたのを届けにきた。」
『なんでうち。』
嫌な顔を隠しもしない奈月に、諏訪は申し訳なさそうに頬をかく。
「引き取ったはいーが、明日一限から講義あったの忘れててよ。太刀川隊は午後から任務だろ?預かってくんねぇ?」
『………。』
頼む、と片手を上げた諏訪に奈月は大きくため息を吐いた。
『パフェ、奢ってくださいね。』
「おう、任せろ!」
そう言って預かった太刀川はずっしり重たかった。
『う、中まで運んでもらえばよかった…。』
玄関先で別れたことに後悔しつつ、自分のベッドまで引き摺る。
『っしょ、と!はあ〜重たい!』
グルグルと肩をほぐしていると、ベッドに沈んだ太刀川がうっすらと目を開けた。
『あ、気付きました?太刀川さん飲みすぎ!』
「………奈月…?」
『はい奈月です。水飲みまぅわっ!』
急に引かれた腕に逆らえず太刀川の横に尻もちをつく。
『ちょ、太刀川さん危ない!』
「奈月、」
『何ですか。』
「奈月〜、」
『だからなーに。』
もぞもぞと動く太刀川にされるがままの奈月。
『…何この状況…。』
気付けば同じベッドで太刀川に抱き枕にされていた。
『太刀川さん、起きなくていいから離して。』
すっかり寝息を立てている太刀川だが、奈月を抱き込む腕の力は半端じゃない。
『えぇ…、これこのまま寝るパターン?』
深いため息を吐いた奈月が、観念して力を抜いた時。
「奈月…、」
『あ、太刀川さん起き、んっ、』
唇が、触れた。
『………!?』
太刀川のドアップが映り、数秒後、ゆっくり離れていく。
奈月を真っ直ぐ見つめる太刀川の瞳は、次の瞬間完全にシャットアウト、気持ち良さそうにいびきをかき始めた。
『っ、こんの酔っ払い…!』
これはパフェだけでは済まないかもしれない。
END.
(んあ…?何で奈月が隣で寝てんだ?)(いっぺん死ね!)