WTの夢

□玉狛と夕飯
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『お邪魔しまーす。』

玉狛の扉を潜った奈月を、宇佐美と雷神丸に乗った陽太郎が出迎える。

「奈月さんいらっしゃーい!」
「奈月っよく来たな!」
『おー、ウサちゃんに陽太郎〜元気そうだなぁ。』

陽太郎の頭を撫でた奈月はキッチンに立つ木崎を見付けた。

『レイジさんこんにちは。夕飯食べに来ました。』
「ああ、いらっしゃい。奈月はよく食べるから作りがいがある。」
『ありがとうございます。』

主夫な木崎とそんなやり取りをしてから再び宇佐美を見た奈月は、手元の紙袋を彼女に手渡した。

『ウサちゃん、これエクレア。みんなで食べて。』
「わーい!実は紙袋気になってたんですよね〜。」
『知ってる。わざと焦らしてみた。』
「あー!奈月さん意地悪〜!でもメガネ仲間だから許します!」
『そりゃどーも。』

二人で笑い合った後、奈月は屋上に顔を出す為部屋を出た。
階段を登りきった先にある扉を開けば、綺麗な夕焼けがよく見える。

『やっぱりここにいたか、迅。』
「おー、奈月。」
『迅のお出迎えがなかったから寂しかったよ。』
「よく言うよ。」

ぼんち揚食べる?と傾けてきた袋に手を伸ばし、ボリボリしながら景色を眺める。

『オレここからの夕焼け好きなんだよねー。』
「ムードもへったくれもないけどね。」
『お前が言うな。』

綺麗な夕焼けに似合わずボリボリとした音が響く。

「最近どー?」
『なにが?』
「目。」
『ああ、相変わらず。』
「頭痛は?」
『たまにあるけど、だいじょーぶ。』
「…ふーん。」
『なんだよ。』

納得いかないような迅の返事にジトリとした視線を返す。

「奈月の大丈夫は全然大丈夫じゃないから。」
『…だからお前が言うなっての。』
「心配してるんだよ。」
『オレだってしてるわ。』
「、ずるい。」

お互い様だと笑う奈月に、迅も口角を上げた。
そして夕焼けが闇に染まり始めた頃。

「あー!こんな所にいた!」

屋上の扉が激しく開かれ現れたのは、制服を着た小南だった。

『おー、小南。おかえり〜。』
「あ、ただいま!…じゃなくて!夕飯出来たって!レイジさんが!」
『相変わらず面白いなぁ小南は。』
「それ誉めてない!」
『バレたか。』
「もうっ!奈月さんの分も食べちゃうんだから!」
『えっ、それはやめて!』

慌てて小南を追いかける奈月に笑みを溢した迅は、ゆっくりとその後に続いた。





END.
(奈月さんこんばんは。)(おー烏丸、ってもう食ってる!)

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