WTの夢

□迅とサイドエフェクト
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「奈月。」
『おー、迅。』

呼ばれて振り向いた本部の廊下。

『珍しいな。今来たの?』
「そ。ちょっと用事があって。」
『女子のお尻でも触りに来たか。』
「オレを何だと思ってるの。」
『変態。』
「ひどっ!」

迅が横に並ぶのを待って歩き出そうとした奈月は、腕を引かれて再び止まる。

『なに?』
「そのまま行くとぶつかるよ。」

その言葉に前を向く奈月は、目を凝らしてピントを合わせる。

『あ、ホントだ。』

壁を避けるようにしてずれた奈月の顔を、迅が覗き込む。

「大丈夫?見えてる?」
『近っ、見えてるよ。たまに透視がメガネを上回るだけ。』
「そのたまにで何かしらぶつかるからさ〜。」
『わかったから離れろ。』

グイ、と迅の顔を押し返す奈月は、今度こそぶつからないように歩き出す。

「気を付けてね、頭打つとバカになるから。」
『うっさいエリート。』
「それ悪口になってないから。あ、ぼんち揚食う?」
『食う。』

どこからか二袋出した迅は一袋を奈月に手渡す。

「奈月はすぐ食べ終わるよね。」
『ぼんち揚はうまいだろ。』
「前あげた一箱は?」
『なくなった。』
「さすがなっちゃん、また送るわ。」
『さんきゅ。』

ボリボリしながら世間話をしていると、奈月の足が隊室の前で止まった。

『オレこれからミーティングなんだけど。迅は?』
「あー、帰るわ。」
『そー?気ぃつけて。』
「今度玉狛来いよ〜。」
『おー。』

ボリボリしながら去っていった迅に、奈月は首を傾げた。

『結局何しに来たんだ?アイツ。』





END.
(壁にぶつかって大怪我するのが視えたから。)

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