WTの夢
□太刀川隊とスナイパー
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――「うわああああああ!!ネ、ネイバー!!こっちにくるんじゃない!!ボ、ボクを誰だと思ってるんだ!!」
通信から聞こえる声に思わず舌打ちをした。
――「師匠、舌打ち聞こえてる。」
――『ああ、ごめんつい。』
――「絶対思ってないよ。」
聞こえてきた別の声には笑いが含まれており、心にもない謝罪は見抜かれていた。
――『太刀川さん、どうする?』
――「そっちから見えるか?」
――『もち。』
――「仕方ねぇ、助けてやれ。」
――『りょーかい。』
通信からは悲鳴がBGMのように続いている。
――『はぁ、マジうるさい。』
掛けていたメガネを額にずらしてその声の主をビルの屋上から見れば、ネイバーはネイバーでもバムスターから逃げている姿が見えた。
――『バムスターも捕獲する相手選んだ方がいいよね。』
――「ちょ、師匠辛辣!」
相変わらず笑いながらツッコミを入れる出水は、大量のモールモッドを相手にしていても余裕だ。
――『ここからだと射線通ってないけど…、まぁ仕方ない。』
透き通った家々の向こうにいる悲鳴の主に、アイビスの銃口を向ける。
C級隊員でも何とか倒せる相手に何をそんなに怯えているのか。
しかもネイバー相手に金持ちアピールとか馬鹿でしかない。
――『唯我、邪魔。』
建物が壊れる激しい音と共に、BGMだった悲鳴がプツリと途切れた。
――「…おーい奈月。オレ助けてやれって言わなかったか?」
――『助けたよ、バムスターの脅威から。』
――「…なるほど。」
太刀川の呆れた声の後ろで物凄い破壊音が聞こえる。
――『太刀川さん、建物壊したら城戸司令に怒られるよ。』
――「お前も人のこと言えねぇだろーが。」
――『ついでに出水も。』
――「師匠に言われたくねー!」
この日時の防衛任務担当がA級1位の太刀川隊だったのが、ネイバーの大きな敗因だろう。
すでにわんさかいたネイバーは一匹残らず始末されている。
合流した三人は互いの安否を確認した後、本部に向かって歩きだした。
「さぁて帰るか。」
『あ、コンビニ寄ってもいい?』
「ダメに決まってるだろ。」
「バカ師匠…。」
END.
(甘味が食べたい…。)