正義感溢れる野良猫と

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『ちゃんとせなあかんねんで、神様はいつでも見てるらしいからちゃんとせんと怒られんねん』

小学生の時、幼なじみに言われた言葉。10年も前の記憶。顔も覚えてないけど、この言葉は覚えてる。

ふと目を開けると呆れる黒尾の顔と怒ってる数学の先生がいた。

「お前、久々に出てきたと思ったらいい度胸だな」
「先生、ええ子守唄ありがとうございます」
「誰も子守唄歌ってねぇよ」
「またお願いします」
「お願いをするな!」

どうも素直に言ったことが良くなかったらしい。黒板に問題を5問書くと颯に答えを書くように言った。
まだ眠たいらしい颯は目を擦りながら黒板の前に立つ。

「途中式書くん面倒くさいから答えだけでええですか?」
「いいけど…え?」

颯はチョークをもつとスラスラと一気に5問の解答を書いてしまい、またあくびをしながら席に着いた。
その瞬間チャイムがなり昼休みとなった。

「昨日、遥人が熱出したのか?」
「てっちゃんは、ストーカーしたことある?」
「健全な高校男子になんてことを聞くんだ」
「最近遥人の近くまで嗅ぎつけよって、どうにかしようとは思ったんやけど……とてつもなくめんどくさいねんなぁ」
「当事者としてあるまじき発言が聞こえましたけど?」

颯は伸びをすると肘をつきながら昼休みにサッカーなどをする生徒の姿を眺める。

「生きるのって疲れんなぁ…」
「なんでビーチバレーやめたの?」

バツの悪そうに眉間に皺を寄せる颯だが、とりあえず黒尾は今回は引き下がる気はないようで巫山戯てる様子もない。

「なんでそんなに知りたいん?」
「凄いサーブ見ちゃったから」
「手加減したのに?」
「は?」
「なんや、気ぃつかへんかった?」

そう言って両手をあげると得意げに「うちは元左利きの両利きやねん」とはにかんだ。

「だからあの時は右手で打ったので威力制御してましたー」
「あれで制御って……」
「そんなにすげーの?」

いつの間に来たのか夜久と海が颯の背後にたっていた。

「夜久でも取れるかな…」
「もっくんレシーブ上手いん?」
「一応リベロ」
「そうなんや!…あり?そういやなんでもっくんとのぶのぶはここに来たん?」
「合宿の打ち合わせ」
「バレー部の?」
「それ以外に何があるんだよ」
「そんなんあるんや」

感心するその言葉に夜久も黒尾も吃驚して目を見開いていた。

「えっ、ビーチバレー部じゃないの?」
「あぁ…面倒やったから説明省いたけど、日本の学校は6歳までしか通ってへんよ。それ以降はずーっとアメリカにおった」
「まさか…前の学校での話は…」「アメリカでの話やな」
「……関西弁は?」
「よう覚えてへんねんけど、近所に住んでた子が教えてくれたらしい」
「アメリカとのハーフだったんだね」
「ううん、フランス人とのハーフやで」
「「ややこしいわっ!」」

思わぬ発言に夜久と黒尾は2人して訴えたのだった。
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