大好きな貴方は
□白いヒーロー
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「ライム、おとなく」
「私は猫みたいな名前じゃないわ。レンっていう名前がある。軽々しく私に指図しないで」
レンは男を見据える。一瞬男の拳銃を握る腕の筋肉が動く。
顔をそらせばそれと同時に発砲音が響く。
「っ!?」
「ほぅ」
避けたと見えたらしくぱくぱくとするが平然とレンは口を開く。
「別に避けたわけじゃない。目上の男からの威圧と女の挑発。プライドのある男は女の挑発に乗りやすい。そして腕に力が入るため腕の筋肉が動く。それを見れば顔をずらすだけ」
「二億じゃ少なすぎたか?」
「そうね、格安よ」
レンは机を思いっきり蹴りあげる。机とその上に乗っていた書類も宙を舞う。その紙を空中で取る。
「この金糸は本物。確かこの紙無くなれば白紙よね?」
「あぁ、契約範囲内だ」
「ライム!その紙をこっちによこせ!」
「指輪を返して」
「なっ!」
「指輪を返して!」
「分かった!だから紙をよこせ!」
「指輪が先よ」
男が出した指輪が帰ってきてレンはそっと撫でる。そして左の元の場所につけた。
「指輪を返した!その紙を早く!」
「私がいつこの紙を渡すと言った?」
「っ!?」
「私の記憶違いなら商品である資格は無いわよね?」
「確かに指輪を返せと言っただけだ」
レンは細く笑うとライターを真ん中に近づけた。
「やめろ!!」
「ランス・ルフィもそういったわ。だけどあんたは今の私と同じように目の前で彼の家を、燃やした。そして悲しみに浸る彼に容赦なくガトリングを浴びせた」
そして紙を燃やし灰になった。
「ランス・ルフィの死に際をなぜ知ってる………」
「彼には実の息子がいた。そしてその息子と私は…一緒にその場面を見ていた」