大好きな貴方は

□なんてことない日常
1ページ/2ページ



汗が滲む6月。
梅雨時は雨が降り続き、気が滅入る。
土砂降りの中自動車を運転するレンは折れそうなくらいに動くワイパーに眠気を感じながら設置したガムを無動作に掴んで口に入れた。

「あぁ‥‥‥‥くそっなんなんよもぅ!」

夜勤からの通常勤務のあと、レンは社長に呼ばれた。
結構面倒ごとはさっさと終わらすタイプのレンは、大学2年で取るべき単位はあらかた終わらせ悠々とバイトに勤しんでいた。
勤務態度は真面目だとチーフからお墨付きをもらうほどなのに何が悪いのか。
むんむんと様々なことを考えながらレンは社長入った。
そしてバイトとしての金が多いからしばらく休め
とのことを言われたのだ。

「なんでバイトの金が決まってるわけ?意味わかんないし!聞いてる!?軌虎!」
『聞こえてるっーの』
「まだ2週間だよ!?今月入って!」
『はいはい、想定給料は?』
「‥‥‥‥‥‥15?」
『お前賢いんだからよ、考えてみ?一人に多方月30渡してたら破たんすんぞ?』
「何とかするのが経営者」

暴君極まりない言葉に電話の向こうでため息をついていた。

「軌虎も経営者でしょうが。なんとかならないの?」
『なるわけ無いだろ。だがお前にいいバイトならあるぜ?』
「やらない」
『即答かよ‥‥』
「リスクしか生まれないやつなんてやるわけ無いでしょ、つーかまず貰える金自体グレーゾーンのやつなんてやだ」
『ちっ、つーかこれから何するんだよ。学校もほとんど行かないように設定したんだろ?』
「ほんと何しよう。あっ家ついた」
『んじゃ電話切るぞ。なんかあったら電話しろよ。物騒な世の中なんだから』
「自分より弱い奴なんて呼びません」
『警官仕込みの武道かまされたら勝てるわけねぇだろうが』
「はいはい、愚痴聞いてくれてどうもありがとう」
『心の篭らない感謝の言葉、超いてぇわ』

軌虎との電話をきりレンは大雨の中ダッシュで室内に入った。






入るやいなや脱衣所に向かい濡れたものを洗濯機へ放り込みその足でお風呂に入ったのは言うまでもない。
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ