正義感溢れる野良猫と
□3
1ページ/3ページ
「もう大丈夫なのか?」
次の日に移動教室で部屋を出た颯は廊下で夜久会い、黒尾から症状を聞いたのか心配して小袋に2つ入ってある飴をくれた。
「これ…」
「嫌いだった?」
実はめちゃくちゃ好きなヤツでこれ以外の飴は買わない颯は頬を赤くして満面の笑みを投げかけた。
「ありがとう!めちゃくちゃ好き!!めちゃくちゃ元気出る!」
「ならよかった!」
颯はその場で袋を開けると1つを夜久の口に入れる。
「半分こ」
そういうと自分の口に残りの1個を入れ、あっけに取られる夜久に幸せそうに口の中で雨を転がしながら手を振り移動教室へ足を向けた。
姿が見えなくなったあと顔をめちゃくちゃ赤らめしゃがみこむ夜久に廊下で一部始終を見ていた人達は心の中で同情していた。
「今のはダメだろ……」
移動教室先である化学室へ入っていくとちょうど名前順なので黒尾と同じ机に座る。
「何その飴」
「もっくんがくれた」
「もっくん」
「夜っ久ンやからもっくん」
「俺はちゃんなのに夜久はくんなのか」
ちょっと拗ねたように不貞腐れる黒尾に笑いながら膨れた頬をつつく。
「お前らなんなの?」
4人の机を座るため同席をしていた男子が呆れたように肘をつく。
「なんなん?って何がなん?」
「付き合ってんの?」
「やだっ、颯ってば俺の彼女になる?」
「うち彼氏おる」
びっくりする2人に携帯の画面を見せた。そこにはスーツ風の服を着た遥人が颯の頬にキスしている写真だった。
「遥人じゃん!びっくりするわ!」
「なに、どういうこと?小柳の甥っ子??」
「うちの宝物でうちの弟」
「弟!?」
「そんなことより、彼氏いないんじゃん!」
「てっちゃん、身長以外ちっちゃい男やわ」
「ちっちゃくないよ!花の高校生よ!?」
その後騒いでいた黒尾は一人めちゃくちゃ怒られたのだった