正義感溢れる野良猫と

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音駒高校に入り部活後いつもの暗い道をバレーボールを手に下校する黒尾鉄朗。
普段は静かな道なのだが、声がしてその方向を見ると、気の弱そうなスーツのおじさんが柄の悪そうな奴5人に絡まれていた。
所謂、カツアゲと言うやつである。
そして残念なことに5人と目があってしまい、3人がこちらに向かってきてしまった。

「なんだ?にぃちゃん」
「えっと、カツアゲはやめた方がいいですよ?」
「カツアゲ?おじさんがお金を譲ってくれるって言うから貰ってるだけなんだけど?」
「だよなぁ?」

男たちはゲラゲラと笑いながらおじさんの肩を叩く。傷だらけのおじさんの顔は絶対に善意で渡している訳では無い。

「そんな風には見えないんですがねぇ」
「ちょっ、危ないでぇ」

ふと声が聞こえた直後金色の何かが、黒尾に絡んできた男を踏み倒した。それが金髪の綺麗な顔をした女の子で手にはさっきまで泣いていたであろう泣き顔の赤ん坊がいた。

「ちょっお兄ちゃん」
「俺?」
「あんた以外あの気弱なおっさんと根性腐った能無し野郎しか居らへんやん」

その言葉に男達は矛先を女の子へ向ける。

「ちょっとお願いするわ。その代わりこの子借りんで」

手に持っていたバレーボールと赤ん坊を交換すると男たちと少し距離をとる。
ボールを投げて走り出すと破裂音と共に男達がの顔面に向かってボールを放ったのだ。

「ジャンプサーブ…強烈」

唖然とする空気の中、遥人の1人だけキャッキャと笑う。

「ご機嫌になってよかった!」

輝くような笑顔を向けると男たちに向かって戻ってきたボールを構えた。

「選ばしたるわ、このまま顔面そいつら2人みたいに殴られて気絶するか、金置いてとっとと消えるか」

男たちは金を黒尾に渡すと気絶する2人を抱えて走り去ってった。
バレーボールと金を交換すると怯えたおじさんの目の前にしゃがみこむ。

「おっさん大丈夫?」
「あっ、あぁ」
「これお金な、ほんでこれがあのアホらの顔写真」

いつのまに撮ったのか、インスタントカメラとお金、そして絆創膏をおじさんに手渡しするとそそくさとその場から立ち去った。
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